HOME > 教育 > 専門高校の技術研修協力(日本版デュアルシステム) > H22(多治見工業高校)

専門高校の技術研修協力(日本版デュアルシステム)

平成22年度 デュアルシステム(多治見工業高校)

  1. はじめに
    多治見工業高校では平成16年度より文部科学省から「日本版デュアルシステム」についての研究指定を受け3ヵ年計画で研究を推進してきた。「デュアルシステム」は、元来学校(理論)と企業(実習)の二者が協同して生徒を一人前の職業人に育ててきた西ヨーロッパの伝統的な教育制度であり、これを日本の教育制度に適合する形で導入しようとしたものが「日本版デュアルシステム」である。このシステムはインターンシップと違い、2週間以上におよぶ長期の派遣実習であり、その目指すところは、学校では難しい「高度な知識・技術」の習得や「勤労観・職業観」の育成、さらに生徒自身の「進路設計」への指針等にあり、ゆくゆくは地域の担い手となる技術者養成を期待するものである。研究所では平成17年度からこのシステムの受入れ先として多治見工業高校に協力してきた。平成18年度に「日本版デュアルシステム」としての活動が終了した後も学校の要請により引き続き「研究者・エンジニアとしてのモノの見方、考え方を育成する」ということに主眼をおいて生徒の受入れを行っている。6年目を迎えた今年度は電子機械科の3年生4名を受入れた。テーマは昨年度と同じ「自立式同軸二輪車の製作」とし、5月中旬から1月中旬までの金曜日午後2時間程度を中心に21回実施した。
  2. 概要
    今年度も、NIFSオープンキャンパス及び学科内発表会での発表を目標として進めることとした。自立式同軸二輪車は核融合発電施設等の広い敷地を持つ施設においてメンテナンスや警備に有効な乗り物として今後広く使われることが考えられる。セグウェイやトヨタ自動車が開発したWingletがすでに知られており、昨年度はこれらを参考に手持ちのモータや車輪で1号機を製作した。最初に1号機の試乗をし、その後、昨年度の反省に基づき、新たな自立式同軸二輪車を製作するために、改良点を議論した。1号機の反省点としては(1)速度が足りず制御範囲が狭い、(2)直進安定性に問題がある、(3)制御回路がオフセット電流によりうまく動作しない、(4)ハンドルの取付け強度が不足している等があった。議論としては(1)はトルクの大きなモータを使用すれば対応できる。(2)はモータからギアを介して車輪に動力を伝達しているため、ギアの取付け精度が十分でないと起きる可能性がある等があった。(1)と(2)の問題点を解決するために、高トルクで直接軸にタイヤを接続できる軸強度があるモータを新に選定することにした。インターネットから候補となるモータを検索した結果、澤村電気工業㈱製SS40E6‐H4‐25を選定した。次に議論から得た情報等をもとに部品の設計図を作成した。設計に際しては生徒たちがシャーシ等の強度計算を行い、図面はCADにより作成した。この設計図をもとに製作担当者に製作を依頼した。部品ができあがったところで組立て作業を実施した。組立て作業が完了して走行試験ができたのはオープンキャンパス前日で、当日は実機の展示とポスターで、設計から製作までの概要を紹介した。オープンキャンパスでは、来場者からは試乗したいとの要望が多かったが、安全の観点からお断りした。その後の反省会では、生徒から来場者が試乗できるように安全性にも配慮して改良したいとの意見があった。この後、走行試験を繰り返し行うとともに若干の改良を行い直進安定性が十分確保できていることを確認した。また、制御回路の検討を行い、左右に曲がる機能を追加した。今後は自立制御回路を完成させることが重要な課題である。最後に高校の学科単位で行われる発表会に向けた資料の作成及びまとめを行った。
  3. まとめ
    今年度は「自立式同軸二輪車の製作」の改良に取り組んだ。改良点の確認や解決方法についての議論や設計図の製作、部品の調達、組立てそして走行試験までの一連の過程を経験できたことは生徒にとってものづくりのための非常によい経験になったのではないかと思う。社会に出てからこの経験が少しでも生かされることを期待したい。今年度製作した自立式同軸二輪車は自立制御回路を残してほぼ完成した。自立制御回路の作成はかなり難しいと思われるが、引き続き来年度もこのテーマを実施するかは、次の子供たちと十分に議論したい。
photo:議論の様子 photo:部品確認作業
議論の様子 部品確認作業
photo:試走の様子 photo:平成22年度の生徒
試走の様子 平成22年度の生徒

連絡先

核融合科学研究所 管理部 総務企画課 対外協力係
電話:(0572)58-2019
E-mail: taigai-kakari@nifs.ac.jp