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重水素実験について
核融合科学研究所重水素実験安全評価委員会

大型ヘリカル装置ではどんな研究が行われているの?

 核融合科学研究所では、将来の核融合エネルギーの実用化を目指して、大型ヘリカル装置(LHD)を用いたプラズマの学術的研究を行っています。核融合には高温高密度プラズマが必要ですが、LHDのプラズマでは核融合炉に必要とされる性能には至りません。LHDの研究目的は、将来の核融合に必要とされるプラズマを見通し、その学術的・体系的研究を推進することにあります。したがって、LHDがそのまま核融合炉や核燃焼実験炉となることはありません。
 LHDは、我が国独自のヘリカル型プラズマ閉じ込め方式に基づいて建設され、1998年の実験開始以来、水素、ヘリウム等の軽元素を用いた研究を強力に推進してきました。その結果、1億度を超えるプラズマ温度の達成、1000兆個/ccの超高密度プラズマの実現、5%のプラズマ圧力と閉じ込め磁場圧力の比(ベータ値)の達成、1時間に及ぶ加熱プラズマの定常保持など、世界の核融合研究をリードする研究成果を達成してきています。
 こうした成果をふまえて、今後は、核融合炉の条件を見通せるさらなる高温高密度プラズマを生成し、学術的・体系的な研究を一層推進させる必要があります。そうすることで、ヘリカル方式核融合炉の設計が可能となります。

重水素実験の目的はなに?

 プラズマをつくるガスとして普通の水素の代わりに重水素を用いると、プラズマの閉じ込め性能が1.5~2倍程度向上することが世界中の大型核融合実験装置で明らかにされています。そこで、LHDにおいても重水素を用いたプラズマ実験を行うことにより、「さらなる高温高密度プラズマ」を期待することができます。しかしながら、重水素プラズマ実験では核融合反応がわずかに生じ、微量のトリチウムおよび中性子が発生します。そのため、重水素実験を計画・実施するにあたり、十分な安全性を確保するために、安全管理計画を策定する必要があります。同時に、市民の皆さんに対しても安全性に関して十分な説明を行う必要があります。

安全評価委員会とは?

 そこで、核融合科学研究所では、重水素実験を計画するにあたり、その安全性を確保するために「大型ヘリカル装置における重水素実験の安全管理計画(案)」を作成しました。この安全管理計画(案)を様々な角度から検討し、必要な改善点を洗い出すと共に、重水素実験を行うにあたって必要十分な安全管理計画となっているか否かの評価をいただくために、研究所外の第三者の委員によって構成される重水素実験安全評価委員会を立ち上げました。