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平成22年6月8日

ヘリカル研究部 プラズマ加熱物理研究系の論文紹介
 

  大学共同利用機関法人 自然科学研究機構
 

核融合科学研究所

 核融合を実現するにはプラズマの温度を上げる必要があるため、プラズマの加熱手法の研究が重要です。核融合科学研究所の大型ヘリカル装置ではプラズマを高周波を用いて加熱し、安定な高温プラズマを実現するための研究を進めています。ここでは、プラズマ中を伝わる波のひとつである「電子バーンシュタイン波」を利用した加熱手法に関する論文を紹介いたします。

“Electron Bernstein wave heating via the slow X-B mode conversion process with direct launching from the high field side in LHD”
H. Igami, Y. Yoshimura, S. Kubo, T. Shimozuma, H. Takahashi, H. Tanaka, K. Nagasaki, S. Inagaki, T. Mutoh, A. Komori and the LHD experimental group
Nuclear Fusion vol.49 (2009) 115005

  プラズマは電気を帯びた粒子(荷電粒子)であるイオンと電子からなる気体で、このプラズマ中を伝わる波の一つに静電波というものがあります。静電波は波の進行方向と同方向にイオンや電子の密度が疎になったり密になったり(薄くなったり濃くなったり)という振動しながら伝わる波で、縦波とよばれている波です。空気の疎密が振動して伝わる縦波が音波ですので、静電波はプラズマ中を伝わる音波とも言えます。その静電波のひとつに「電子バーンシュタイン波」と呼ばれる波があります。
  電子バーンシュタイン波は1950年代にI.B.バーンシュタインの理論解析により存在が明らかにされた静電波で、電子の疎密振動とともに電場も波の進行方向と平行方向に振動しながら伝わっていきます。我々の日常生活にもなじみの深い電磁波(電波)は真空中では電場と磁場が進行方向と垂直方向に振動しながら伝播する横波ですが、プラズマ中に入射され電子の密度が高い領域に伝わっていくと、進行方向と垂直方向だった振動電場に、次第に進行方向に平行な成分があらわれて静電波的な性質を持つようになり、ついには縦波(電子バーンシュタイン波)となります。もともと横波であった電磁波が縦波の静電波に変わってしまう現象は「モード変換」と呼ばれ、プラズマ中を伝わる波動ならではの興味深い現象です。電子の磁場中での特徴的な運動との共鳴を利用する電子サイクロトロン共鳴加熱には、電磁波を用いることが一般的ですが、この電子バーンシュタイン波を用いると、電磁波が伝わることのできない超高密度プラズマの加熱が可能となります。この論文では大型ヘリカル装置に入射する電磁波の方向を工夫することで電子バーンシュタイン波を発生させ、電子サイクロトロン共鳴加熱を試みた実験の結果について報告しています。


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