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平成22年9月8日

本年度のLHD実験に向けて

 

  大学共同利用機関法人 自然科学研究機構
 

核融合科学研究所

 大型ヘリカル装置(LHD)はメンテナンス作業が終了し、本年度の実験に向けて、8月20日に装置の真空排気を開始しました。9月に入ると約1ヶ月かけて超伝導コイルを−269度まで冷却して、10月からプラズマ実験を開始する予定です。これまで以上に高温で密度の高いプラズマを安定に保持するために、メンテナンス期間中に不純物などの粒子を制御する装置の改造・整備を行いました。
 プラズマの温度や密度を高くするためには、プラズマの中に入る不純物の量を減らす必要があります。不純物とは、プラズマとなる元の燃料ガス(LHDでは水素やヘリウム)とは異なる物質のことで、酸素や炭素、鉄などがLHDでは観測されています。不純物はプラズマの中に入ると光を出します。光はエネルギーをもっているので、不純物が光るということはプラズマのエネルギーが光の形で失われることになります。そのため、不純物が多いと高温で高密度のプラズマにすることができません。
 高温で高密度の主プラズマは電磁石(コイル)の作る磁力線のかごにより保持されていますが、そのままでは一番外側のプラズマが壁に接触して、壁から不純物が放出され、主プラズマに混入してしまいます。不純物の混入を防ぐために、壁近傍の磁力線の形を変えて、一番外側のプラズマを主プラズマから遠く離れた場所に導き、そこに受熱板を置いてプラズマを終端させることにより、不純物などの粒子を制御します。外部から主プラズマの中へ入ろうとする不純物は、受熱板につながる外側のプラズマ中でイオン化され、磁力線に巻きついて受熱板へ流されます。このため、不純物の主プラズマへの混入を防ぐことができます。また、受熱板上でプラズマは温度が下がって元の燃料ガスに戻りますが、粒子制御することによりこの燃料ガスが再び主プラズマへ戻る量を制御することができ、主プラズマの性能を上げることも可能となります。
 昨年度までのLHDの粒子制御は、炭素材でできた受熱板が主プラズマを向いていたため、受熱板上で発生する燃料ガスや不純物が、再び主プラズマへ向かって飛んでいきました。そこで、受熱板の向きを変え、囲いを設けることにより、燃料ガスや不純物が主プラズマに戻りにくくなるように、粒子制御を改造しました。このような改造により、主プラズマの温度と密度をさらに高くすることができると期待しています。今回の整備では、全体の20%を改造しました。10月から始まるプラズマ実験でその効果を調べ、将来的にはさらに整備を進める計画です。これにより、不純物や燃料ガスの制御性が向上して、より性能の高いプラズマをつくることができると期待されます。


以上

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