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平成22年10月25日

日米欧の高周波加熱技術ワークショップ

 

  大学共同利用機関法人 自然科学研究機構
 

核融合科学研究所

 2010年9月13日から15日の3日間、イタリアのコモにおいて「日米欧の高周波加熱技術ワークショップ」が開催されました。この会議は日本・ロシアを含むヨーロッパ・アメリカが持ち回りでホスト国となって毎年開催されており、大電力高周波加熱技術に関する情報を交換することにより、効果的に研究を推進することを目的としています。コモはミラノから電車で約1時間北上した湖の畔にあり、町はドゥーモと呼ばれる教会を中心に放射状に広がっています。保養地として有名で、”ヴィラ”と呼ばれる美しい庭園は何世紀にも渡り戦争から守られてきたそうです。
 磁場に閉じ込められた高温プラズマ中のイオンや電子は、特定の高い周波数の電磁波と強く相互作用(共鳴)するため、こうした周波数の電磁波をプラズマへ入射することにより、プラズマを加熱することができます。FMラジオの周波数領域である数十MHzの電磁波を用いるとイオンを加熱することができ(イオンサイクロトロン周波数帯加熱:ICH)、また、軽い電子を共鳴的に加熱する電子サイクロトロン共鳴加熱(ECH)では、数百GHzという、携帯電話で使用している周波数の数十〜数百倍の高い周波数の電磁波を用いています。核融合炉へ向けたこうした大電力高周波加熱技術開発の重要性は高く、また、ECHに関しては、加熱のみならずプラズマ制御にも重要な技術として注目されています。
 ワークショップでは合計36件の発表が行われました。加熱手法に対応した周波数帯における大電力発振器、高周波の伝送路、大電力の高周波を入射させる試験用の終端抵抗などの高周波の発振・制御・整備技術に特化した内容から、高周波電力をプラズマ中に入射するためのアンテナのデザイン設計に関する研究まで、大電力高周波加熱技術に関する最新の研究結果が報告されました。日本はECH周波数領域での大電力発振器の技術で世界をリードしており、国際熱核融合実験炉(ITER)に必要な発振電力の達成にあと少しのところまで来ています。
 核融合科学研究所からは、大型ヘリカル装置(LHD)におけるECHの大電力加熱システムの性能と大電力加熱時のプラズマ特性、およびICHによる大電力定常加熱実験における長時間放電プラズマの安定保持に関する発表に加え、2010年に行われるLHDの実験に向けて設計、製作、設置を行ったICH用の新型アンテナに関する報告が行われ、参加者の注目を浴びました。
 今回のワークショップでは日本の古河電工、アメリカのCPIやロシアのGYCOMといった企業からの参加もあり、大電力高周波技術における民間企業との連携および情報交換が進んでいることを実感しました。2011年はアメリカがホスト国となって、10月頃に開催する方向で検討されています。


以上

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