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平成23年5月16日

装置工学実験 −超伝導装置の性能を調べる−

 

  大学共同利用機関法人 自然科学研究機構
 

核融合科学研究所


 大型ヘリカル装置(LHD)は、核融合プラズマ実験装置としては世界最大の超伝導装置です。そのため、LHDの超伝導装置としての特性や性能を調べる実験を行い、その結果を次世代の超伝導核融合装置の設計・開発に生かしています。こうした実験を装置工学実験と呼び、通常はプラズマが点かないよう真空容器内にガスを詰めて、実験内容に応じた様々な条件で超伝導コイルに電流を流します。今回は、平成22年度にLHDで行われた装置工学実験について紹介します。

 装置工学実験では、プラズマ実験とは異なり、超伝導コイルを含むLHD装置そのものの特性を調べたり、周辺機器の運転制御を改善する実験研究を行っています。一般に、磁場の強さが時間的に変化すると金属内に誘導電流と呼ばれる電流が発生します。今回の実験では、超伝導コイルの作る磁場の強さを時間的に変化させたときに、真空容器などのLHDの構造材に流れる誘導電流について調べました。
 LHDの超伝導コイルシステムは、らせん状にドーナツを一周する1対2本のヘリカルコイルと、ドーナツの上下に円環状に配置された3対6本のポロイダルコイルで構成されています。平成20年度に、このポロイダルコイルの一部の電源を増設したことにより、プラズマ生成中に磁場を時間的に変化させる運転が可能となりました。この運転により、様々な興味あるプラズマ実験ができるようになりましたが、その際の磁場の時間的な変化により、真空容器のような金属構造材に誘導電流が流れてしまいます。この誘導電流がプラズマ実験にどのような影響を与えるかを評価するためには、誘導電流がどれくらいの大きさでどこに流れるかを知る必要があります。この構造材を流れる誘導電流が作る磁場も時間的に変化しますので、超伝導コイル自体に二次的な誘導電流が流れます。そこで、この二次的な誘導電流を調べることで、構造材に流れる誘導電流を間接的に評価できるはずです。今回の実験では、構造材を流れる誘導電流に対するこのような評価手法を検証することを目的として、基礎的な実験及びデータの取得を行いました。
 実験では、条件を単純にするために1対のポロイダルコイルのみに時間的に変化する電圧をかけました。そして、このコイルに流れる電流を詳細に調べると、二次的な誘導電流が観測されました。また、電圧をかけていない他の2対のポロイダルコイルにも二次的な誘導電流が観測されました。その結果、これら3対のポロイダルコイルで観測された二次的な誘導電流の大きさから、LHDの構造材に流れる誘導電流を推定することができました。推定された誘導電流の大きさは、プラズマ実験中にポロイダルコイルが作る磁場の強さの1%から2%に相当しました。
 今回の実験では、プラズマが無い状態で、かつ、状況を単純化するためにプラズマ実験時とは異なる電圧のかけ方をしています。また、ヘリカルコイルやヘリカルコイル容器などの影響はまだ考慮できていません。次回以降の実験では、これらも考慮した研究に発展させる予定です。


以上