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平成23年12月26日

第53回アメリカ物理学会プラズマ物理分科会

 

 

  大学共同利用機関法人 自然科学研究機構
 

核融合科学研究所

 2011年11月14日〜18日の5日間、アメリカ・ユタ州ソルトレイクシティのソルトパレスコンベンションセンターにおいて、アメリカ物理学会プラズマ物理分科会が開催されました。ソルトレイクシティは2002年の冬季オリンピックの舞台となりましたが、当時メディアセンターが設けられた場所で会議が開催されました。
 アメリカ物理学会のプラズマ物理分科会はアメリカ国内で毎年11月頃に開催される会議で、今年で53回目となります。非常に大きな規模の会議で、発表件数は招待講演が約100件、口頭発表が約500件、ポスター発表が約1,200件の合計約1,800件にのぼりましたが、核融合科学研究所からは7名が参加・発表しました。アメリカ国内の会議ではありますが、アメリカのみならず、アジアや欧州など海外からの参加者による発表もあり、国際会議としての側面を持っているのも本会議の特徴です。今年はその中でも特に、韓国の磁場閉じ込め核融合プラズマ実験装置KSTARに関する発表が16件と多かったのが印象的でした。
 会議では学術講演が毎日朝8時から夕方5時まで行われ、それ以降は、最終日を除いて、「大学における核融合研究のあり方」や「ITERに向けた開発の現状」といった個別のテーマについて議論するタウンミーティングなどが夜9時過ぎまで行われました。また、会議中、同センターにおいて、地域の住民や中高生を対象としたプラズマに関する科学体験イベント「プラズマサイエンスエキスポ」が開催され、広い会場が子供たちの歓声で満たされていました。
 学術講演では、磁場閉じ込め核融合、慣性核融合プラズマを始めとして、基礎・応用プラズマ、宇宙プラズマといった様々な分野における最新の成果が発表されました。研究所からは、大型ヘリカル装置(LHD)で観測されている、プラズマ周辺部を冷やすと遠く離れたプラズマ中心部が暖まるという不思議な現象に関する新しい解析結果が、招待講演として報告されました。この不思議な現象は、10年以上前から様々な磁場閉じ込め核融合プラズマ実験装置で観測されていますが、まだ分からないことがたくさんあります。報告では、その理解の糸口になる可能性の高い解析結果を示したため、大きな関心が寄せられました。
 会議では、プラズマ物理の分野で現在注目されている研究に関する解説(レビュー)講演もありました。数学のノーベル賞にあたるフィールズ賞を2010年に受賞したフランス人のCedric Villani教授が、受賞理由となったランダウ減衰と呼ばれるプラズマ中を伝搬する波の減衰機構を、単純化せずに導出した方程式で表した研究成果について講演を行いました。また、アメリカ物理学会からプラズマ物理の分野で顕著な業績を挙げた研究者に贈られる「マックスウェル賞」を受賞したドイツのマックス・プランク地球外物理学研究所のGregor Morfill教授が、受賞理由となった微粒子のプラズマに関する研究成果について講演を行い、関連した実験を無重力下の国際宇宙ステーションで行うなど、その研究成果にたくさんの聴衆の関心が集まりました。
 次回の会議は、2012年10月29日から11月2日まで、ロードアイランド州プロヴィデンスで開催される予定です。


以上