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平成25年3月4日

プラズマ中でのゴマの動きを調べる!? −不純物の振る舞いの研究−

 

 

  大学共同利用機関法人 自然科学研究機構
 

核融合科学研究所

 大型ヘリカル装置(LHD)では、主に水素ガスを用いて高温度のプラズマの研究を進めていますが、プラズマ中には炭素や鉄などが「不純物」として混ざり込みます。不純物は光を出してプラズマのエネルギーを放出してしまうため、量が多くなるとプラズマを冷やしてしまいます。そのため、不純物の量を減らすとともに、そのプラズマ中での振る舞いを調べることは、将来の核融合エネルギーの実現に向けて重要な課題です。今回は、LHDで行われている、プラズマ中の不純物の振る舞いとその制御に関する研究について紹介します。

 黒ゴマと塩を混ぜてお赤飯にまぶして食べるゴマ塩、よく混ぜたつもりでも、お皿に盛ってトントンと揺らすと黒いゴマが塩の上にフツフツと湧き出てくる、そんな経験をされたことはないでしょうか。これはゴマの方が塩より比重が軽いため、浮いてくるのです。この時ゴマの動きだけを見れば、重力に逆らって上へ上へと移動するわけです。この塩の中をゴマが移動するのに似た現象が、プラズマ中でも起こります。
 プラズマ中のイオンは、供給しているガスの水素イオンだけではありません。できるだけ供給ガスによる純粋なプラズマにしたいのですが、ゴマ塩の中に混ざっているゴマのようなものとして、不純物と呼ばれるイオンも存在します。不純物には、鉄や炭素、酸素などがありますが、将来の核融合炉では、プラズマが燃焼してできるヘリウムも不純物となります。不純物により、プラズマ中のエネルギーが光として放出されてしまうため、プラズマの温度を下げる原因にもなります。また、プラズマの純度が薄まってしまうので、燃焼密度も低下してしまいます。このように、将来の核融合炉では、不純物はプラズマから取り除きたいため、不純物の動きを調べ、それを制御することを目指した研究が進められています。
 不純物イオンは、条件によってプラズマの中心へ移動したり、外の方へ移動したりします。ゴマ塩をトントンと揺するとゴマや塩が動きだし、比重の重い塩が下に、軽いゴマが上に移動します。重力と浮力のバランスで動く向きが決まるので比重が大切です。では、プラズマ中の不純物は、どのようにして移動する向きが決まるのでしょうか。LHDでは現在、不純物イオンがプラズマ中にどのくらいあるのか、どのような条件で不純物がプラズマの中心に入っていくのか、あるいは外に排出されていくのかを調べているところです。
  最近、イオン温度が高くなると、プラズマ中の不純物が外に排出される現象が観測されています。この現象は、水素プラズマの閉じ込めがよい状態でありながら、不要な不純物は吐き出されるため、高い注目を集めています。このようなプラズマでは、温度の低い時にはプラズマの中心に向かって移動していた不純物が、ある温度以上になると外に向かって移動するようになります。移動する方向が突然変化するため、少しずつしか変化しない温度や密度の分布だけではなく、プラズマの揺れ方や乱れ方といったものが重要ではないかと考えられています。揺れとともにプラズマ中から不純物が吐き出されていく様子を思い浮かべると、揺するたびにゴマ塩の中からゴマが湧き出してくる様子を連想して、興味深いですね。今後、不純物がどのような仕組みで、このように移動していくかを明らかにしていく予定です。


以上