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平成26年1月14日
プラズマ粒子の循環過程を解明する -周辺プラズマシミュレーション-
大学共同利用機関法人 自然科学研究機構
核融合科学研究所
 

 将来の核融合発電では、外部から供給された燃料は高温のプラズマ状態となって燃えます。そのため、供給された燃料の粒子がプラズマになる割合やプラズマから出て粒子に戻る割合、その粒子が再びプラズマになる割合など、粒子の容器内における循環の過程を調べることは重要です。こうした粒子の循環過程で鍵となるのが、プラズマ周辺部での粒子の振る舞いです。大型ヘリカル装置(LHD)では、燃えないガスを用いて、プラズマ周辺部における粒子の循環過程を実験的に調べていますが、そうした実験結果をスーパーコンピュータを用いたシミュレーションにより再現しています。今回は、周辺プラズマのシミュレーションにより、プラズマへ供給された粒子の循環過程を解明する研究について報告します。

 将来の核融合発電では、火力発電と同様に、燃料を燃やして発生した熱で発電機を回して発電します。しかし、火力発電では、一度火のついた天然ガスや石油は容器内に供給した分だけ燃えますが、核融合発電では、燃料ガスを高温のプラズマ状態にして燃やすため、容器内に供給した燃料粒子は全てが燃えるわけではなく、一部は、プラズマになっても燃えずに出てきて粒子に戻ったり、その粒子が再びプラズマになったり、あるいはそのまま容器外へ排出されたりします。このように、粒子はプラズマを介して流出と供給が常に起きて循環しています。
 高温のプラズマは磁場のカゴに閉じ込められているため、容器の壁に直接触れていませんが、磁場のカゴから出てきた温度の低いプラズマは、ダイバータと呼ばれる場所に導かれて終端します。プラズマは壁に触れて終端すると粒子に戻り、ガスとして壁から放出して容器内を巡ります。一部はポンプで排出されますが、一部は再びプラズマに入り込みます。このような粒子の循環をリサイクリングと言います。こうしたリサイクリングに深くかかわるのがダイバータ領域を含めた周辺プラズマです。実験では、燃えないガスを用いて周辺プラズマにおける粒子の循環過程が調べられていますが、実験で全ての場所を測ることは難しく、また、直接測定できることは限られています。そこで、スーパーコンピュータを使ったシミュレーションを活用して、LHDの周辺プラズマや粒子の分布を求めることを可能にしました。
 この周辺プラズマシミュレーションを用いて、プラズマが終端するダイバータ板の形状の違いが及ぼす影響について調べました。シミュレーションは、形状だけを変更して他は同じ条件で行える上、どの場所でも密度や温度を求めることができるので、こうした比較研究にはたいへん有用です。シミュレーションの結果、ダイバータ板の向きを、プラズマが見える向きから直接は見えない向きに変えると、板上で粒子に戻った粒子はよりプラズマに再び入り込みやすくなり、板のすぐ近くでプラズマが多く発生することが分かりました。その結果、板に触れて粒子に戻るプラズマも増え、板前面のプラズマ密度と粒子密度の双方がお互いに影響を与え合って増加することが明らかになりました。
 将来の核融合発電で効率よく燃料を燃やすためには、燃焼を起こす温度の高い中心部のプラズマだけではなく、燃料粒子の循環過程に強く影響する周辺プラズマの研究も重要です。核融合発電の実現へ向けて、今後、中心プラズマと周辺プラズマの研究者の連携や、シミュレーションと実験の相互の比較研究などを推進して、お互いを補い合うことが一層求められています。

以上