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平成26年8月11日
プラズマから放出される光のエネルギーを測る -ボロメーター計測-
大学共同利用機関法人 自然科学研究機構
核融合科学研究所
 

 大型ヘリカル装置(LHD)では、磁力線で作ったカゴにより高温プラズマを閉じ込めています。高い温度のプラズマ粒子である水素イオンや電子が逃げないように閉じ込めることで、プラズマの持つエネルギーの損失を抑えていますが、一方で、プラズマに混入した不純物などが放出する光は閉じ込めることができないため、プラズマのエネルギーを損失させてしまいます。そのため、プラズマのエネルギー収支やプラズマの状態を知るためには、プラズマから光として放出されるエネルギーの総量を測ることが重要になってきます。今回は、プラズマから放出される光のエネルギーを測るために、LHDで研究が行われているボロメーター計測について紹介します。

 LHDなどの磁場閉じ込め装置では、磁力線のカゴにより、プラスやマイナスの電気を持った水素イオンや電子などのプラズマ粒子を閉じ込め、それらを様々な方法で加熱して、プラズマを高温度にします。こうした高い熱エネルギーをもつ状態を効率よく実現するためには、加熱エネルギーを効率よくプラズマ粒子に入力させるとともに、プラズマからのエネルギー損失を抑える必要があります。エネルギー損失には、磁力線のカゴからのプラズマ粒子の逃げ出しなどがありますが、プラズマ中に混入している少量の不純物や、磁力線のカゴの外側にありプラズマになっていない状態の水素原子・水素分子によって、光(電磁波)としてもエネルギーが放出されます。磁力線のカゴは、プラズマ粒子をしっかりと閉じ込めることはできますが、光を閉じ込めることはできないのです。
 LHDでは、光として放出されるエネルギーを測るため、「ボロメーター」という計測器を使用しています。ボロメーター(bolometer)はもともと、天文学の分野で赤外線を測るために開発された装置で、もちろん「オンボロなメーター」ではありません。ギリシャ語のbolē(光線)とmetron(測る)を語源にもつ英語で、「光線を測る」という意味を表しています。太陽の光を浴びると体が温まるように、プラズマからの光によって、金でできているボロメーターの検出素子も温まります。温度が上昇すると一般に金属の電気抵抗は増加するため、その電気抵抗の変化から光のエネルギーを測定することができます。
 LHDには現在50個以上のボロメーターが設置されていて、プラズマが放出する光を様々な方向から計測しています。それぞれの素子は一方向からの光を受けるだけなのですが、「特異値分解」というちょっと難しい数学を使うことで、ドーナツ状のプラズマを輪切りにした断面からの発光を知ることができます。こうしたデータを使って、最終的にはドーナツ状のプラズマ全体から光として放出されるエネルギーを知ることができるのです。
 光のエネルギーの熱としての側面のみを利用して計測するボロメーターですが、高温プラズマのエネルギー状態の研究には重要な計測器で、特に、LHDが得意とする長時間放電時のプラズマのエネルギー収支を調べるのに活躍しています。

以上