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平成26年8月25日
高い圧力のプラズマを効率的に閉じ込める -プラズマの漏れ度の研究-
大学共同利用機関法人 自然科学研究機構
核融合科学研究所
 

 大型ヘリカル装置(LHD)では、高い圧力のプラズマを磁力線で編んだ入れ子状のカゴで長時間安定に閉じ込める研究を進めていますが、プラズマは大きく分けて2つの理由で磁場のカゴから外に出てきます。一つは、プラズマの中心部から周辺部へ向けて生ずる大きな圧力差などが原因となって磁場のカゴの一部が壊れたりして、プラズマが外に出てくる現象で、非常に短い時間で起こります。この現象については、「プラズマを壊してみよう」(研究活動状況No.231、2014年6月2日発行)で紹介しました。もう一つは、磁力線のカゴの「隙間」や「綻び」から、温度の高いプラズマそのものが少しずつ漏れ出る現象です。このプラズマが漏れ出る原因には、プラズマ中の揺らぎがあると考えられています。漏れ度が小さければ小さいほど、将来の核融合発電所のサイズを小さくできます。今回は、LHDで進められている、プラズマやその熱の漏れ度の研究について紹介します。

 プラズマを閉じ込める磁場の圧力に対してプラズマの圧力を高くすることができると、より経済的な核融合発電所を作ることができます。LHDでは、磁場の圧力に対して低い圧力値のプラズマと高い圧力値のプラズマでは、プラズマや熱の漏れ度の性質が異なることが発見されています。低い圧力値のプラズマでは、漏れ度はプラズマの圧力にほとんど依存しないのに対して、高い圧力値のプラズマでは、漏れ度はプラズマの圧力に比例して大きくなります。将来の核融合発電所では、核融合により発生する熱エネルギーはプラズマの圧力の2乗に比例する一方、経済的な観点から、できるだけ小さな磁場でより高い圧力のプラズマを閉じ込めることが求められています。そのため、漏れ度がプラズマの圧力に比例して大きくなることは、大きな磁場が必要となって経済的な核融合発電所の実現にとって問題になる可能性があります。
 LHDでは、プラズマを閉じ込める磁場のカゴの形を変えて、高い圧力値のプラズマに対して、プラズマやその熱の漏れ度を調べることにより、プラズマの漏れを引き起こす原因を絞りつつあります。もっとも有力な候補はプラズマ中の揺らぎで、その場合、漏れ度はプラズマの圧力に比例して大きくなる一方、プラズマの電気抵抗値が低くなると漏れ度は小さくなることが予測されています。プラズマの電気抵抗値は、プラズマの温度の1.5乗に反比例し、密度の1乗に比例するので、核融合発電所で想定されるプラズマの電気抵抗値は、LHDのプラズマに比べて格段に小さくなります。そのため、この予測は、将来LHD型の核融合発電所を実現する上で、好ましい予測となっています。この予測が正しいか否かを検証するために、現在LHDでは、プラズマの圧力値が将来の核融合発電所に等価的に匹敵する高い領域で、これまでよりプラズマの電気抵抗値の低いプラズマに対して、漏れ度の性質を調べています。最近の実験では、観測された漏れ度は、予測された値とほぼ同じであることが確かめられています。これは、将来の核融合発電所では十分小さな漏れ度になることを示すものです。今後さらに研究を進めて、ヘリカル型核融合発電所の設計に活かす予定です。

以上