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平成27年2月2日
プラズマの変動を高速撮影する -高速軟X線カメラ計測-
大学共同利用機関法人 自然科学研究機構
核融合科学研究所
   

 大型ヘリカル装置(LHD)は、磁力線で編まれたカゴにより、高温度のプラズマを宙に浮かして閉じ込めています。閉じ込められたプラズマは密度や温度が一定になるように制御しますが、詳細に見ると、実際には密度や温度は高速で変動しています。変動量が小さいときは問題はありませんが、何らかの原因で変動が大きくなるとプラズマが変形し、場合によっては磁場のカゴの外へ逃げてしまいます。そのため、プラズマ形状が変化する様子を捉えて、変動が成長する原因を調べる研究が行われています。今回は、LHDで行われている、プラズマの変動を高速で撮影して観測するためのカメラ計測について紹介します。

 ここで紹介するカメラは、皆さんが頭に思い浮かべるカメラとは大きく二つの点で異なります。一つ目は、目に見える可視光ではなく軟X線と呼ばれる光を撮影の対象としていることです。光は電磁波の一種ですが、可視光は波長でいうと400~800ナノメートル(1ナノメートルは100万分の1ミリメートル)で、さらに波長が短くなると紫外光、そして数ナノメートル程度の波長の軟X線の領域になります。一般のカメラは可視光を対象としているので、目で見た風景がそのまま写真になりますが、高温のプラズマから放射される光は可視光以外の割合が多いため、大部分は目で見ることはできません。一方、プラズマからは、そのエネルギー状態に応じて様々な波長の光が放射されるので、それらを観測することにより、プラズマの状態や性質を知ることができます。LHDの高温・高密度プラズマから放射される軟X線の強度はプラズマの密度や温度に強く依存するため、それを計測・撮影することにより、広範囲なプラズマの変動を捉えることができます。
 二つ目は、プラズマの変動を正確に計測するために、高速での撮影を可能としていることです。一般のカメラはCCDと呼ばれる光検出半導体を用いて光を計測していますが、高速で撮影するためには露光時間を短くしなければならず、その場合、十分な感度が得られません。そこで、CCDの代わりに、計測する光に対する感度が大きくなるように大口径のフォトダイオードを多数並べて、高速の計測・撮影を実現しました。
 開発した高速軟X線カメラを用いて、プラズマの変動に関する現象を理解する研究を行っています。これまでの研究から、プラズマ中心部の圧力が急激に尖塔化するように増加したときに大きな変動が生じ、中心部の圧力が短時間で低下するような現象が見つかっています。このような現象を制御して、高圧力のプラズマを生成・保持するためには、プラズマ変動の成長要因を明らかにする必要があります。この変動は高速であり、また空間的にある構造を持つことが予想されているため、開発した計測手法を適用して研究を進めています。今後もこの高速軟X線カメラを活用し、プラズマ変動が変化する様子や変動の構造を明らかにして、高性能プラズマの生成・保持の研究を進めていきます。

以上