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平成27年6月22日
より高温で丈夫な材料を目指して
 ―酸化物分散強化金属の開発―
大学共同利用機関法人 自然科学研究機構
核融合科学研究所
 

 核融合発電炉では、プラズマ中で起こる核融合反応によって発生する粒子のエネルギーを、熱に変換して発電に使います。炉の中ではプラズマ全体を包み込むブランケット(毛布の意)と呼ばれる部品が、プラズマからのエネルギーを熱に変える役割を果たします。さらにその熱を、冷却材を使って炉の外部に取り出し、最終的に蒸気タービンを回して発電を行います。熱を取り出して発電する過程では、一般に、高い温度で熱を取り出した方が、発電効率が高くなります。そのためにはブランケットの温度をより高くしなければいけません。そこで、長期間にわたり高温で丈夫なブランケットを作る材料の開発が求められています。
 今回紹介する材料は「分散強化金属」と呼ばれるものです。一般的に、材料はそこに含まれるナノレベル(1ミリの100万分の1程度)の隙間が移動することによって亀裂が生じます。そして、温度が高くなると、その隙間は移動しやすくなります。こうした材料に異なる種類のナノレベルの大きさの粒子を均一に散りばめると、これらの粒子が障害物となって隙間の移動が抑えられるため、より高い温度においても丈夫な材料になります。
 分散強化金属の一つに、構造材としてよく知られているステンレスの一種であるフェライト鋼に酸化物を散りばめた「酸化物分散強化フェライト鋼」があります。フェライト鋼は核融合発電炉を設計する上で基本となる材料ですが、その使用温度は400℃から500℃程です。私たちは、このフェライト鋼に、例えば酸化イットリウムという酸化物を分散した材料を新たに開発し、より高い700℃でも丈夫な材料であることを見出しました。また、この材料を先進液体ブランケットの構造材として使用することを想定し、この酸化物分散強化フェライト鋼と液体冷却材(4月6日付研究活動状況を参照)との共存性を系統的に明らかにしました。
 分散強化法は、広く耐熱材料に適用できる有効な強化法として注目を集めていて、世界中の研究機関で研究が行われています。フェライト鋼の他にも、タングステン、バナジウム、銅といった基盤材料への適用も期待されています。核融合科学研究所も、分散強化金属に関する研究の実績を国内外に発信していく予定です。

以上