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平成29年2月8日
第19サイクルのプラズマ実験を開始しました
大学共同利用機関法人 自然科学研究機構
核融合科学研究所
 

 核融合科学研究所は、大型ヘリカル装置(LHD)の第19サイクルプラズマ実験を本日開始しました。「サイクル」とは数か月間連続して行う実験期間のことで、今回の実験サイクルは、平成10年の実験開始から数えて、19回目の実験期間になります。
 この間にLHDは、数々の世界記録を樹立するとともに、プラズマ物理学上の極めて重要な発見等、多くの成果を挙げてきました。例えば、プラズマ性能の指標となるイオン温度が、ヘリカル装置の世界最高値9,400万度を達成しています。
 今回のサイクルから重水素ガスを用いてプラズマを生成し、プラズマの更なる高性能化を目指す「重水素実験」を開始します。これまで世界の主要な装置で、重水素プラズマは、通常の水素(軽水素)プラズマより性能が高いことが知られています。LHDにおいても、軽水素プラズマから重水素プラズマに変更することにより性能が上がることがコンピュータシミュレーション等で予測されており、イオン温度がLHDの最終目標値である1億2,000万度に近づくと期待されています。軽水素の2倍の質量を持つ重水素を使用するとなぜプラズマ性能が向上するのか、この理由はまだ分かっていません。この謎を解明することもLHDの重水素実験の研究目的の一つです。
 重水素実験では、中性子と微量の三重水素(トリチウム)が発生しますが、中性子は建屋のコンクリート壁で遮蔽し、トリチウムは除去装置を用いて回収するため、周辺環境に影響を与えることはありません。第19サイクルプラズマ実験は、まず、従来と同じ軽水素を用いた実験から始め、実験手順や機器の動作及び性能の確認を行った上で、3月7日から重水素を用いた調整実験を開始します。この調整実験で全ての安全性が確認された後、4月以降、本格的な重水素実験に移行します。実験の終盤は約1か月間再び軽水素実験を行った後、8月3日に終了する予定です。
 研究所は、プラズマの更なる高性能化を目指すとともに、研究を新たな段階へと進めるべくLHDの重水素実験を計画してまいりました。この間、重水素実験の必要性・安全性について、市民の皆様のご理解と地元自治体等関係の方々のご協力、ご支持のもと、実験実施に向けた種々の準備を完遂し、本日第19実験サイクル初日を迎えることができましたことに厚く御礼申し上げます。緊張感を保ち、安全第一で実験を進めてまいります。今後ともご支援、ご協力の程よろしくお願い申し上げます。

以上