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令和元年10月3日
第21サイクルのプラズマ実験を開始しました
大学共同利用機関法人 自然科学研究機構
核融合科学研究所
 

 本日、核融合科学研究所は、大型ヘリカル装置(LHD)の第21サイクルのプラズマ実験を開始しました。「サイクル」とは、数か月間連続してプラズマ実験を行う期間のことで、今回は、平成10年の実験開始から数えて、21回目の実験期間になります。
 LHDでは、第19サイクルから、重水素を用いてプラズマの更なる高性能化を目指す「重水素実験」を行っています。第19サイクルの重水素実験では、核融合を実現するために最も重要なプラズマ条件の一つである「イオン温度1億2,000万度」を、ヘリカル型装置として世界で初めて達成しました。しかし電子温度の方は、現時点で6,400万度程度にとどまっています。将来の核融合炉のプラズマは、イオン温度と電子温度が共に1億2,000万度以上になることが予測されていることから、それに近い「核融合炉級高性能プラズマ」を実現し、その性質を明らかにする研究を行うことが必要です。
 第21サイクルでは、重水素実験を行ってイオン温度と電子温度がともに1億度以上のプラズマの生成を目指します。一方、LHDでも他の装置と同様、重水素を用いることにより、プラズマ性能の向上が確認されました。これは「同位体効果」と呼ばれていますが、その理由は分かっておらず、核融合研究最大の謎とされています。LHD実験グループは、スーパーコンピュータを用いた大規模シミュレーション研究を行うグループと協力して、同位体効果のメカニズム解明に取り組みます。更に、高温プラズマを定常維持するために不可欠であるプラズマ制御の研究、プラズマを自己加熱する役割を担う高速粒子の閉じ込めに関する研究、閉じ込め悪化の原因となる、プラズマ中に発生する「ゆらぎ」とその抑制に関する研究等も推進します。
 第21サイクルの実験期間は、本日10月3日から来年の2月6日までを予定しています。重水素を用いた実験(重水素実験)は、本日から来年1月10日まで実施します。その後、終盤の約1か月間は、軽水素※※とヘリウムガスを用いた実験を実施し、来年2月6日に終了する予定です。
 研究所は、実験の安全な遂行を最優先事項として、第21サイクルにおいても機器の保守・点検、巡視等を行うとともに、万が一の事故に備えた緊急連絡・対応の訓練も実施しています。また、実験の状況を随時ホームページ上で公開する等、引き続き情報公開にも努めてまいります。今後ともご支援、ご協力の程よろしくお願い申し上げます。

以上

※  重水素: 通常の水素の2倍の質量を持つ水素。化学的性質は軽水素と同じ。
※※ 軽水素: 通常の水素