核融合科学研究所では、核融合エネルギーの実現を目指して、磁場を使って高温のプラズマを安定に閉じ込める研究を行っています。磁場が強くなるほどプラズマが良くなります。そこで、大型ヘリカル装置(LHD)においても、磁場を強めて、より高温・高密度のプラズマの研究を行うために、2006年に超伝導電磁石の冷却システムの増強を行いました。それまでは、超伝導ヘリカルコイルを冷却するために絶対温度4.4 度(-268.8℃)のヘリウムを供給していましたが、この供給温度を絶対温度3.2 度(-270℃)まで低下させました。このことにより、プラズマ実験に使える磁場を5%高めることができました。ここに紹介いたします論文
"Operation and control of cold compressors in subcooling system for LHD
helical coils," Hamaguchi S., Okamura T., Imagawa S., Obana T., Yanagi
N., Oba K., Moriuchi S., Sekiguchi H., Mito T., Proceedings of the
Twenty-Second International Cryogenic Engineering Conference and
International Cryogenic Materials Conference 2008, pp. 811-816 (2009).
は、増強した冷却システムの性能と制御についてまとめたものです。ヘリウムの温度を絶対温度3.2 度まで下げるためには、大気圧の1/5くらいにまで圧力を下げる必要があります。今回の改造では、低温で駆動するポンプ(低温排気圧縮機)を採用することで、増設しなければならない熱交換器システムをコンパクトにまとめることを可能としました。また、電気ヒーターを用いてこの熱交換器内の圧力を一定値に制御することにより、負荷(超伝導ヘリカルコイル)側の圧力変動を打ち消して、ポンプの安定な運転、すなわち、供給温度を安定に保持することを実現しました。この論文は、2008年7月に韓国のソウルで開催された第22回国際低温工学会議(ICEC)で発表され、さらに最新の成果を含めた発表が、2008年秋のプラズマ・核融合学会の招待講演に選ばれました。この超伝導電磁石の性能向上と安定な運転を、世界最大級のシステムであるLHDにおいて実証したことは、超伝導に関する基盤技術として重要な成果として注目されています。
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