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平成21年10月6日

新領域シミュレーション研究系の論文紹介
 

  大学共同利用機関法人 自然科学研究機構
 

核融合科学研究所

 シミュレーション研究とは、研究対象の動きをコンピュータで計算することによって、その対象がどのように振る舞うか、どのような仕組みが鍵を握っているのかを明らかにしようとするものです。この計算過程ではコンピュータによって膨大な数値データが生み出されます。そのような生の数字を眺めただけでは実際に何が起こっているかを認識することは困難です。数値データをグラフにしたり、等高線を書いたりして、人に分かりやすい表現に焼き直して初めてその様子をよく理解することができるようになります。近年、日進月歩で進歩するスーパーコンピュータのおかげもあって、大規模な3次元シミュレーションが行われるようになってきました。この3次元データは通常3次元可視化ソフトなどを使って2次元面のディスプレイ上に写して解析しますが、奥行きの情報が十分ではないため、3次元で計算された物理量の空間構造(磁場構造や粒子の軌道など)を理解するには困難が伴う場合や、全く理解できない場合があります。このような理由によって、3次元シミュレーションの結果は3次元空間で解析することが望ましいことになります。ここで紹介いたします論文


“Scientific Visualization of Magnetic Reconnection Simulation Data by CAVE Virtual Reality System”, H. Ohtani and R. Horiuchi, Plasma and Fusion Research, 3, (2008), 054.

では、3次元シミュレーション結果を3次元空間で解析するための方法として、没入型バーチャルリアリティ(仮想現実)装置“CompleXcope”を使った解析について述べています。CompleXcopeは、3m×3mの大きなスクリーンで4方向(前左右下)から観測者を囲むことで、観測者をシミュレーションモデルに没入させ、任意の視点から任意の大きさで対象を立体的に観測することを可能にしています。この論文では、CompleXcopeを用いて、シミュレーションで得られた電磁場中での粒子挙動を調べました。その結果、複雑な3次元軌道を描く粒子の運動が磁力線のつなぎ変え(リコネクション)に重要な役割を演じることが明確に示されました。この論文に掲載された図はプラズマ・核融合学会誌84巻11号(2008年)の表紙を飾り、さらに最新の成果を含めた発表が2009年12月に開催されるプラズマ・核融合学会年会の招待講演として行われる予定です。この論文で紹介したソフトウェアはリコネクション研究に限らず、他の分野でのシミュレーションにも応用が期待される機能を有しており、シミュレーション科学の基盤技術確立とシミュレーション研究の推進にとって重要な指針となるものとして注目されています。
 今年の11月14日に開催されるオープンキャンパスでは、この装置を用いたバーチャルリアリティ体験コーナーもありますので、ぜひ体験してみてください。

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