HOME > おしらせ > プレスリリース > 大型ヘリカル装置(LHD)第14サイクルプラズマ実験を平成22年10月14日に開始加熱電力の増力によりプラズマのイオンの高温度化を図る

プレスリリース
大型ヘリカル装置(LHD)第14サイクルプラズマ実験を

平成22年10月8日

 核融合科学研究所では、大型ヘリカル装置(LHD)の平成22年度の実験として、第14サイクル実験を10月14日に開始します。昨年度の実験から、加熱装置の整備を進めて、約30%の加熱電力の増加が期待できます。これにより、イオン温度の高温度化をねらいます。また、高性能プラズマを保持するために鍵となる粒子制御装置を設置し、その基本性能の確認も大きな課題としています。実験は、12月24日まで11週間にわたって実施する予定です。

 

 LHDは平成10年4月の実験開始以来、13年目となります。LHDは我が国独自のアイデアに基づいて、ねじれたドーナツ形状の磁場を超伝導の電磁石で作り、これによって高温のプラズマを閉じ込める研究を行っています。この超伝導の電磁石は約850トンあり、超伝導状態にするために、約4週間かけてマイナス270度まで冷却します。このため、実験のための運転は約半年間継続することから、1年に1回の実験期間となり、これをサイクルと呼んでいます。平成10年度のみ、1年に2回運転しましたので、この13年間で14回目の実験サイクルということになります。

 

 LHDではこれまでイオン温度6,500万度などの成果を上げてきており、この高温状態にあるプラズマの物理について詳しい研究が積み上げられてきています。特に、第14サイクル実験では、水素原子ビームによるプラズマの加熱電力がこれまでの2万3千キロワットから2万9千キロワットに、またラジオ周波数帯の電波(写真1)によるプラズマの加熱電力が新たに1千キロワット加わります。これによって、イオン温度を8,000万度程度まで高めることが期待されます。

 

 また、水素プラズマの純度を高め、不純物などの余分の粒子を排気することが、プラズマ性能の鍵となっていますが、この粒子を制御するための装置を、プラズマを入れる真空容器を整備して設けました(写真2)。これまで、磁場の容器から漏れてきたプラズマがガスに戻り、このガスが過剰に溜まることによって、プラズマを冷やしたり、不純物が中に入ることにつながったりしていました。この装置によって、余分のガスがプラズマに戻らないような仕組みを作ることができます(原理を図1に示す)。今回の整備は部分的なもので、ガスの戻りを抑える能力を検証し、次年度以降の本格的設置につなげます。

写真1 ラジオ周波数帯の電波を放出するアンテナ

写真1 ラジオ周波数帯の電波を放出するアンテナ

写真2 プラズマから戻ったガスをプラズマに戻って冷やさないようにする構造(ダイバータと呼びます)


図1 写真2にある構造の断面図。左がこれまでの形状。右が写真にある整備後。磁力線にそって流れてきたプラズマが対向板に当たり、ガスに戻ります。これまでの形状では、このガスが容易にプラズマに戻りましたが、整備後は限られた空間に留められ、ポンプにより排気できるようになります。今年度、ポンプは未整備のため、ガスを留める能力の検証を行い、来年度以降のポンプ設置に備えます。

補足資料

平成22年度における大型へリカル装置(LHD)のプラズマ実験計画

  1. 第14サイクル予定
    プラズマ実験 10月14日(水)—12月24日(金)
    11週間、延べ実験日数35日(昨年13週間)
    ただし、状況により平成23年2月までの延長可能性があります。

  2. 実験運転
    (1) プラズマ実験運転(原則、火曜から金曜、休日は行いません)
         プラズマ実験時間 9:00−18:45
         1日に約150回のプラズマ放電実験を行います。
    (2) 夜間及び、週末と月曜
         保守を実施するとともに、適宜グロー放電による真空壁調整運転を行います。
    (3) プラズマ実験に用いるガスは、従来どおり水素及びヘリウムです。

  3. 安全対策と情報公開
     安全は最優先重要事項です。実験目標を達成するためにも、LHDを安全にトラブルなく運転することが基本となるため、現在も行っている運転開始前の機器の保守点検を細心の注意を払って確実に実行します。併せて、安全対策や情報公開に努めます。

    研究所では、LHD実験を実行する実験グループが自ら安全徹底を図るとともに、これとは別組織である安全衛生推進部が更なる安全衛生水準の向上に努めています。

  4. 実験目標
    (1)中性粒子入射加熱電力の増力により、イオン温度8,000万度を目指します(昨年までは6,500万度)

    中性粒子入射加熱電力は最大29,000kWを予定(昨年は23,000kW)。


    (2)真空容器の整備により、排気能力を改善する試みを開始します。



    (3)イオンサイクロトロン共鳴加熱用の新アンテナを用いて高温プラズマの定常保持を目指します。定常加熱電力は最大1,000kWを予定。目標1時間。