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プレスリリース
プラズマ流れの新たなブレーキ機構を発見  自然科学研究機構 核融合科学研究所(岐阜県土岐市 所長・小森彰夫)、九州大学(福岡市 総長・久保千春)では、大型ヘリカル装置(LHD)において、プラズマ流れを堰止める新たな機構を実験的に発見するという大きな成果を上げました。

この研究成果をまとめた論文、
”Flow damping due to the stochastization of the magnetic field”
K.Ida, M.Yoshinuma, H.Tsuchiya, T.Kobayashi, C.Suzuki, M.Yokoyama, A.Shimizu, K.Nagaoka, S.Inagaki*, K.Itoh, and the LHD Experiment Group
National Institute for Fusion Science
*Research Institute for Applied Mechanics, Kyushu University
Nature Communications DOI:10.1038/ncomms6816

日本語訳:
“磁気面の壊れによるプラズマ流の減衰”
居田克巳、吉沼幹朗、土屋隼人、小林達哉、鈴木千尋、横山雅之、清水昭博、永岡賢一、稲垣滋、伊藤公孝、LHD実験グループ
核融合科学研究所
※九州大学応用力学研究所

が、1月8日付けの英科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に掲載されます。

プレスリリース内容

核融合科学研究所のLHDにおいて、居田克巳教授らの研究グループは、九州大学の稲垣滋教授とともに、磁場で閉じ込められた高温プラズマ(磁場閉じ込めプラズマ)が流れる様子を観測し、プラズマを閉じ込めている磁気面の壊れ(ストキャスティック化)が流れを堰止めることを、世界で初めて観測しました。核融合炉ではこの磁気面の破壊を制御する必要があることが分かりました。

研究の背景

 核融合発電を目指して、磁場で高温高密度のプラズマを閉じ込める研究が世界中で行われています。プラズマの中心温度が上がるにつれて、プラズマ中に乱れが生じます。乱れが発達すると今度はプラズマ中に流れが発生し、乱れと流れが共存します。この乱れと流れの共存は、木星等でも見られる不思議な現象です。
 磁場閉じ込めプラズマでは、乱れはプラズマをかき混ぜ、中心温度を下げてしまいます。一方、流れは、乱れによる渦をすりつぶす働きがあり、中心温度は高くなります。核融合炉ではプラズマ流れを強くすることが極めて重要です。また天体では、プラズマ流れの強弱が星の運命に大きく関わっており、プラズマ流れは極めて重要なテーマです。

研究成果

 今回、プラズマの流れを非常に精度よく計測する分光手法を開発することにより、核融合科学研究所のLHDにおいてプラズマ流れの空間分布を計測しました。
 LHDでは外部から入射する加熱ビームを制御し磁場のねじれを弱くすると、磁気面が壊れるという現象(磁気面のストキャスティック化)が起こります。この時のプラズマへの影響については36年前(1978年)に理論予想が提唱されていましたが、その予想をはるかに上回る流れの堰止めが起こり、プラズマの流れがほとんど止まってしまう現象を世界で初めて観測しました(図1)。流れを堰止める新たな機構(ストキャスティック化)の発見は、今後の核融合研究に大いに貢献するものです。この新たに発見された異常なブレーキ機構は、宇宙天体でも働いている可能性があり、今後更に広い学問的波及効果が期待されます。
 本研究成果は、英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(電子版)に平成27年1月8日付けで掲載され、広く一般公開されます。

磁気面が入れ子状の時のプラズマ流れ 磁気面が壊れた時のプラズマ流れ
(図1) 入れ子状の磁気面が形成されている時にはプラズマ中心部付近に大きな流れが形成され、端に向かって流れの大きな勾配をもっている(左図)。しかしながら、 磁気面が壊れてストキャスティック化を起こした後では、プラズマ中心部の大きな流れは止まってしまい、流れの勾配もなくなってしまう(右図)。

【用語解説】
磁気面: 磁場でプラズマを閉じ込めるためには、プラズマを取り囲むように螺旋状の磁力線を形成する必要がある。このような磁力線の軌跡はプラズマを取り囲む閉じた曲面を作る。この面を磁気面という。

【本件のお問い合せ先】
  • 核融合科学研究所・ヘリカル研究部・基礎物理シミュレーシ研究系・准教授 兼 広報委員会副委員長 樋田美栄子
    (TEL: 0572-58-2379)
  • 九州大学 応用力学研究所・教授 稲垣滋
    (TEL: 092-583-7722)