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今川 信作

自然科学研究機構 核融合科学研究所 大型ヘリカル研究部
炉システム・応用技術研究系 超伝導工学研究部門 教授

<研究紹介>
 大型ヘリカル装置のヘリカルコイルは、世界最大級の超伝導コイルであり、複雑なヘリカル形状を有している。乱れの少ない磁気面を生成するために、ヘリカルコイルには±2 mmの高い製作精度と強大な電磁力に対する強固な機械剛性が要求され、特に製作精度の達成は大きな課題であった。まず、ヘリカルコイルに働く電磁力を評価し、次に有限要素法を用いた構造解析を行って,コイルの電磁力による変形を許容値以内に低減できる支持構造を決定した。この中で全てのコイルを同一の支持構造物で拘束することが全支持構造物の重量を最小にすることを示し、設計に取り込んだことは重要な成果である。さらに実機の製作精度の確保のために組立方法の立案と溶接開先形状の最適化を行い、目標とする製作精度を達成した。
 大型ヘリカル装置では、ヘリカルコイルとプラズマ真空容器の間に充分な断熱空間を確保するために、ヘリカルコイルには 40 A/mm2 以上の高電流密度が要求されており、7Tの高磁場下において超伝導コイルとしての冷却安定性を両立させることも重要な課題であった。そこで、ヘリカルコイルの設計においては、コイル内部の磁場強度分布と導体間スペーサに働く電磁力分布が逆の傾向であることに着目し、導体露出率を場所毎に変化させることによって導体間スペーサの最大荷重を軽減し、かつ、冷却安定性を高めることができることを示し、設計手法を確立して実機の設計に反映させた。
 ヘリカルコイルの性能試験において冷却安定性の不足が判明し、その原因解明を進めてきた。高純度アルミニウムで安定化されたNbTi複合導体が開発されたが、導体の大型化に伴って安定化材への電流拡散時間が50 ms程度にまで長くなったことが冷却安定性を低下させる主要因である。これは大型導体には共通する現象なので、普遍性のある評価法の確立を目指して研究を進めている。外部磁界が一様な範囲を長くした円形の導体試験サンプルを新たに提案して、ヒータを用いた安定性試験を実施し、直線形状の導体試験で得られた回復電流よりもかなり低い電流値で常伝導伝播が起こり得ることと、その下限値は外部磁場の方向にはあまり依存しないことを明らかにした。また、実機ヘリカルコイルでは常伝導伝播の際に磁場変化を伴うことを利用して、ピックアップコイルを用いて常伝導伝播の起点および伝播距離を観測することに成功した。バランス電圧の解析と合わせて、伝播・回復速度や伝播距離を明らかにし、さらにはコイル断面内の発生箇所を推定した。
 冷媒温度を低下させることによって、ヘリカルコイルの冷却安定性を改善する研究を進めている。まず、実機ヘリカルコイルと同一仕様の導体を用いてR&Dコイルを製作し、過冷却ヘリウム中でのコイル安定性試験を実施し、温度低下による冷却安定性の改善効果を定量的に調べた。冷却安定化された導体の過冷却ヘリウム中の特性を調べたことは初めてのことであり、同種の超伝導コイルにとって貴重なデータである。その成果に基づいて、実機ヘリカルコイルの冷却系の増強改造を行い、冷媒温度を計画通りに3.0Kまで低下させることに成功した。しかし、過冷却運転時のヘリカルコイルの冷却安定性の改善度がR&Dよりも小さいことから、その原因究明を進めている。
 ヘリカル型核融合炉はプラズマ電流を流す必要が無いことから定常運転に適しているが、トカマク炉との相対比較において、大半径が大きくなることとブランケットの交換の難しいことが欠点と考えられている。そこで、支持構造を含めて超伝導マグネットの形状を最適化する研究を進めている。ヘリカルコイルの最大経験磁界や規格化電磁力等のデータベース化や経験式の導出がほぼ完了し、ブランケットのメンテナンス性を良くするために簡素化した支持構造の概念検討を進めている。
マグネットの概念設計においては、ケーブル・イン・コンジット導体を用いたヘリカル巻線を提案し、成立性を示すため構造解析を進めている。

<主要文献>

  1. S. Imagawa, S. Hamaguchi, N. Yanagi, H. Sekiguchi, S. Moriuchi, T.Mito, A. Komori, O. Motojima, Upgrading program for improving the cryogenic stability of LHD helical coils by lowering the operating temperature, Fusion Engineering and Design, 81 (2006) 2583-2588.
  2. S. Imagawa, K. Takahata, N. Yanagi, and T. Mito, Measurement of Residual Magnetic Field by Superconducting Magnets of The LHD, IEEE Transaction on Applied Superconductivity, Vol. 15 (June 2005) 1419-1422.
  3. S. Imagawa, N. Yanagi, H. Sekiguchi, T. Mito, and O. Motojima, Performance of the Helical Coils for the Large Helical Device in Six Yearsユ Operation, IEEE Transaction on Applied Superconductivity, Vol. 14 (June 2004) 1388-1393.
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