総研大・核融合科学コース「2026年度 夏の体験入学」  

時谷政行

はじめに:核融合の未来を担う学生たちの集い

 去る2026年8月24日(月)から28日(金)までの5日間、核融合科学研究所にて、総合研究大学院大学(以下、総研大)先端学術院 核融合科学コース(以下、本コース)主催の「2026年度 夏の体験入学」が開催されました。本イベントは、核融合科学分野で修士学位あるいは博士学位取得のための進学を検討されている学生を対象に、核融合研究の第一線に触れる合宿形式のプログラムとして2004年から継続されており、本年で23回目を数えます。
 今年は、全国から集結した29名の意欲溢れる学生たち(内訳:大学生22名、高専生6名、大学院生1名)が参加しました。参加者は研究所内の宿泊施設「ヘリコンクラブ」に滞在し、濃密な5日間の研究体験をスタートさせました。

写真1.「2026年度 夏の体験入学」参加学生と教員との集合写真

1日目:最先端装置の体感と、新たな仲間との出会い

 体験入学の初日は、会議室でのオリエンテーションから始まりました。〈表1〉に示す研究課題の概要について、各課題の担当教員から丁寧な説明が行われた後、全体の顔合わせを兼ねて参加学生たちの自己紹介が和やかな雰囲気の中で行われました。その後、学生たちは待望の施設見学へと向かいました。今回の見学コースでは、昨年度までの見学先であった大型ヘリカル装置(LHD)から、コンパクトヘリカル装置(CHD)へと見学先を変更し、さらに、シミュレーションやバーチャルリアリティ(VR)に関する最新鋭の施設見学も行いました。学生たちは、高度に設計された実験装置を間近に体感し、最先端科学の圧倒的なスケールに高揚感を抑えられない様子でした(写真2)。

写真2.施設見学の様子

 初日の夕食時には、研究所内の食堂「土岐っ子」で懇親会が開催されました。教員や、研究所に在籍する現役の総研大生・連携大学院生も交え、リラックスした雰囲気の中で活発な交流が行われました。この時間を通じて学生たちの緊張もほぐれ、翌日からの実習に向けて期待に胸を膨らませていました。

2日目〜4日目:研究の深淵に触れる実習と、将来を描く座談会

 2日目の午前中には、榊原悟コース長による特別講義が行われ、学生たちは核融合科学の基礎からプラズマ研究の歴史、現在の最先端の研究課題までを体系的に学びました(写真3)。そして同日の午後からは、いよいよ各自の専門に分かれた実習が本格的にスタートしました(写真4)。
 今回の体験入学では、〈表1〉に示す通り、「プラズマ実験・核融合工学系」から7課題、「解析・理論・シミュレーション系」から2課題の計9課題が実施されました。
実習期間中は、毎朝全員が会議室に集まり、前日の進捗や実習内容をお互いに報告し合いました。普段勉強している分野が異なる仲間との議論は、学生たちにとって非常に大きな刺激となったようです。また、2日目の夕方には、例年高い人気を誇る座談会「キャリアビルディング」を開催しました(写真5)。先輩研究者として総研大の若手教員が登壇し、自らの実体験を交えながら研究者の道を志したきっかけやこれまでのキャリアパスについて語りました。学生たちからは具体的な質問が次々と寄せられ、教員が一つひとつ熱心に答えるなど、自身の将来の進路を考える極めて有意義な対話の場となりました。

写真3.榊原悟コース長による特別講義の様子
写真4.各課題に分かれた実習の様子
〈表1〉夏の体験入学実施課題
写真5.研究者への道(キャリアパス)をテーマとした座談会「キャリアビルディング」の様子

最終日:成果発表会とこれからの展望

 参加した学生たちから寄せられたアンケートや体験談には、最先端の核融合研究を通じて得られた「難しさと、それを乗り越えた先にある面白さ」といった充実した想いが綴られています。また、同じ志を持つ仲間や研究者と寝食を共にして深く交流した経験も、今後の進路選択において大きな糧となったようです。私たちは、この「夏の体験入学」を今後も継続して開催し、世界の核融合研究をリードする優秀な人材が育ってくれることを心から期待しています。なお、これまでの体験入学の様子や参加学生の体験談は、総研大核融合科学コースのホームページ(https://soken.nifs.ac.jp/archives/open/opencampus)で公開していますので、ぜひご覧ください。

写真6.研究成果発表会の様子

おわりに

本プログラムは、総合研究大学院大学の「新入生確保のための広報的事業」および「NPO法人 核融合科学研究会」からの温かいご支援をいただき実施されました。ここに深く感謝の意を表します。

(プラズマ・複相間輸送ユニット 教授/
総合研究大学院大学 先端学術院 核融合科学コース 併任)