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プレスリリース
本研究所の居田克巳教授が2011年度仁科記念賞を受賞

 

平成23年11月10日

 

 仁科記念財団は、自然科学研究機構核融合科学研究所の居田克巳教授と九州大学応用力学研究所の藤澤彰英教授に2011年度仁科記念賞を授賞することを11月10日に発表しました。仁科記念賞は、故仁科芳雄博士の功績を記念し、原子物理学とその応用に関し、優れた研究業績をあげた研究者を表彰することを目的として1955年から授賞が始まった物理学賞です。ノーベル物理学賞を受賞した江崎玲於奈、小柴昌俊、小林誠、益川敏英の4博士もこの賞を受賞しています。授賞式は12月6日に予定されています。
 授賞対象は「高温プラズマにおける自発電磁場の実験的検証」です。高温プラズマにおける自発電磁場とは、将来の核融合エネルギーの実現を目指して研究が進められている磁場閉じ込めプラズマにおいて、揺らぎとして自然に(自発的に)形成される電場とそれが引き起こすプラズマ回転、及び磁場のことです。居田克巳教授と藤澤彰英教授は、プラズマの中に生じた小さなゆらぎ(乱流)が、大きなサイズに発展していき、大きなプラズマの流れになること、また、これに伴って大きなスケールの電磁場構造が形成されることを世界に先駆けて実験で観測し、検証しました。木星の縞模様や地球のジェット気流のできる物理と共通しており、物理学上の価値が高いと評価されました。実験は主に、核融合科学研究所の高温プラズマ実験装置であるコンパクトヘリカルシステム装置(CHS:平成18年に運転終了)を用いて行われました。この研究成果は、現在フランスで建設中の国際熱核融合実験炉(ITER)の信頼性の高い設計と性能予測の向上にも大きな貢献をするなど、核融合エネルギーの実現へ向けた学術研究を大きく前進させました。今回の授賞は、こうした学術研究が「プラズマ物理学の新しい研究領域を開拓する傑出した業績である」と高く評価されたものです。

参考URL: 仁科記念財団 http://www.nishina-mf.or.jp/index_j.html
参考文献: 物理科学月刊誌「パリティ」2009年1月号「メソスケールダイナモの発見と基礎過程」、2010年1月号「高温トロイダルプラズマで生じる回転」

居田克巳 (いだ・かつみ)
photo:居田克巳 自然科学研究機構核融合科学研究所教授。理学博士。大阪府出身。1986年東京大学大学院理学系研究科物理学専攻を修了し、同年名古屋大学プラズマ研究所助手。核融合科学研究所助教授を経て現職。プラズマ・核融合学会賞論文賞、文部科学大臣表彰科学技術賞(研究部門)を受賞。
   
藤澤彰英(ふじさわ・あきひで)
photo:藤澤彰英 九州大学応用力学研究所教授。理学博士。北海道出身。1990年東京大学大学院理学系研究科物理学専攻を修了し、同年核融合科学研究所助手。同研究所助教授を経て現職。プラズマ・核融合学会賞論文賞、井上学術賞、文部科学大臣表彰科学技術賞(研究部門)、を受賞。

【本件の問い合わせ先】
自然科学研究機構核融合科学研究所
大型ヘリカル装置計画実験統括主幹 竹入 康彦
TEL:0572−58−2180