HOME > ニュース > プレスリリース > 本研究所の山田弘司研究総主幹らが平成24年度科学技術分野の文部科学大臣表彰を受賞
平成24年4月9日
文部科学省は、自然科学研究機構核融合科学研究所の山田弘司研究総主幹、渡邊清政教授、榊原悟准教授の3名に平成24年度科学技術分野の文部科学大臣表彰科学技術賞研究部門を授賞することを4月9日に発表しました。科学技術分野の文部科学大臣表彰は科学技術に関する研究開発、理解増進等において顕著な成果を収めた者について、その功績を讃えることにより、科学技術に携わる者の意欲の向上を図り、もって我が国の科学技術水準の向上に寄与することを目的としています。この中、科学技術賞研究部門は、我が国の科学技術の発展等に寄与する可能性の高い独創的な研究又は開発を行った者を対象としたものです。授賞式は4月17日に予定されています。
授賞対象は「核融合炉に必要な高い圧力を持つプラズマの安定保持の研究」です。将来の基幹エネルギーの候補である核融合による発電を実現するためには、炉心となるプラズマの性能を高めることが必要です。プラズマの性能を表す重要な値として、プラズマの圧力とこれを閉じ込める磁場の圧力の比である「ベータ値」があります。高い経済性を得るためには高い圧力、ベータ値にして5%、が求められ、さらに、それを安定に長時間保持する必要があります。本研究では、我が国で考案されたヘリカル方式による大型ヘリカル装置(略称LHD、核融合科学研究所において平成10年より共同研究に供されている)を用いて、ベータ値の上限を決める不安定性を抑える実験研究を積み重ね、核融合炉に要求される高い圧力(ベータ値として5.1%)を達成したものです。
さらに、この世界最高性能の高い圧力を持つプラズマを、安定して、定常に保持できることを示しました。この研究は、高い圧力を持つプラズマの安定保持に関して、新たな運転領域を実証し、将来の核融合炉の炉心プラズマ設計および運転制御法の確立につながるものです。このように、今回の授賞は、核融合炉の早期実現に科学的な見通しを与えるものであると同時に、核融合炉の高い安全性と経済性の確立に寄与することが期待されると評価されたものです。
参考URL: 文部科学省 http://www.mext.go.jp/
山田弘司(やまだ・ひろし) 自然科学研究機構核融合科学研究所教授・大型ヘリカル装置計画研究総主幹。工学博士。大阪府出身。1987年東京大学大学院工学系研究科を修了し、同年名古屋大学プラズマ研究所助手。核融合科学研究所助教授を経て現職。プラズマ・核融合学会賞論文賞。 |
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渡邊清政(わたなべ・きよまさ) 自然科学研究機構核融合科学研究所教授。工学博士。鹿児島県出身。1992年京都大学大学院工学系研究科を満了し、同年核融合科学研究所助手。同研究所助教授を経て現職。 |
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榊原 悟(さかきばら・さとる) 自然科学研究機構核融合科学研究所准教授。工学博士。大阪府出身。1995年総合研究大学院大学数物科学研究科を修了し、同年核融合科学研究所助手。同研究所助教授を経て現職。 |
【本件の問い合わせ先】
大学共同利用機関法人 自然科学研究機構 核融合科学研究所
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