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プレスリリース
本研究所の井戸毅准教授が自然科学研究機構若手研究者賞を受賞

平成24年6月10日

 本研究所ヘリカル研究部の井戸毅准教授が自然科学研究機構若手研究者賞を受賞しました。この賞は、自然科学研究機構が、エイベックス・エンタテインメント株式会社から、天皇陛下御即位20周年を祝う奉祝曲「太陽の国」(歌唱:EXILE)の収益の一部の寄附を受け、新しい自然科学分野の創成に熱心に取り組み、成果をあげた優秀な若手研究者を表彰することを目的として創設されたもので、今回が第1回目です。今回の受賞では、大型ヘリカル装置(LHD)のための重イオンビームプローブ(HIBP)と呼ばれる計測器の開発に貢献し、それを用いて電位分布及びその揺らぎの観測に成功したことが評価されました。
 電位分布の勾配、つまり電場は、LHDで生成されるような磁場閉じ込めプラズマの閉じ込め性能を左右する極めて重要な物理量ですが、数千万度に及ぶ高温プラズマ内部で測定することは容易ではありません。井戸准教授らのグループは、高エネルギーのイオンを用いることによって、プラズマに影響を与えることなく電位を直接測定できるHIBPをLHD用に開発しました。これにより、それまで測定できなかったプラズマ中心付近での電場の測定に成功しました。また、プラズマ加熱のために入射している高速粒子によって駆動される帯状流と呼ばれる大規模な空間構造を持つ電位の揺らぎの存在を初めて実証しました。今後、電位の実測に基づくプラズマ閉じ込めの研究がさらに進展することが期待されます。
 なお、受賞式と受賞記念講演が6月10日に行われ、100名以上の一般の方々にもご参加いただきました。

photo:井戸毅 井戸 毅(いど・たけし)

自然科学研究機構核融合科学研究所准教授。工学博士。兵庫県出身。2000年名古屋大学大学院工学研究科を修了し、同年核融合科学研究所助手。同研究所助教を経て現職。