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プレスリリース

本研究所の永岡賢一助教が平成25年度科学技術分野の文部科学大臣表彰を受賞

平成25年4月10日

 文部科学省は、自然科学研究機構核融合科学研究所の永岡賢一助教に平成25年度科学技術分野の文部科学大臣表彰 若手科学者賞を授賞することを4月8日に発表しました。科学技術分野の文部科学大臣表彰は、科学技術に関する研究開発、理解増進等において顕著な成果を収めた者について、その功績を讃えることにより科学技術に携わる者の意欲の向上を図り、もって我が国の科学技術水準の向上に寄与することを目的としています。この中、若手科学者賞は、萌芽的な研究、独創的視点に立った研究等、高度な研究開発能力を示す顕著な研究業績をあげた若手研究者を対象としたものです。授賞式は 4月16日に予定されています。
 授賞対象は「プラズマ中の高エネルギー粒子損失過程の研究」です。将来の基幹エネルギーの候補である核融合による発電を実現するためには、核融合反応で生じる数百億度に相当するエネルギーを持つ高エネルギー粒子が、プラズマを効率良く加熱することにより、1億度の高温プラズマを保持することが不可欠です。ところが、高エネルギー粒子がプラズマ中で起こる波により損なわれることによりプラズマが加熱されない問題が指摘され、波による高エネルギー粒子の損失過程の解明が求められていました。
 本研究では、この損失過程を解明するために、プラズマ中の流れ計測の手法を適用した粒子計測器を開発しました。コンパクトヘリカルシステム(略称:CHS、核融合科学研究所において、1988年から2006年まで稼働。)における実験で、加速して入射した水素原子を対象として、この計測器を用いた研究を行いました。その結果、高いエネルギーを持った粒子とプラズマ中で起こる波との相互作用を観測することに成功し、その損失過程を世界で初めて明らかにしました。さらに、この損失量を予測する理論を実験的に検証しました。この研究は、高いエネルギーを持った粒子がプラズマを効率良く加熱できることを示しており、関連する研究が今後、大型ヘリカル装置実験などにおいてもさらに加速することが期待されると評価されたものです。

参考URL: 文部科学省 http://www.mext.go.jp/

photo:井戸毅 永岡賢一(ながおか・けんいち)
自然科学研究機構核融合科学研究所助教。理学博士。大分県出身。2002年名古屋大学大学院理学研究科を修了し、核融合科学研究所助手を経て現職。

【本件の問い合わせ先】

大学共同利用機関法人 自然科学研究機構 核融合科学研究所
管理部 総務企画課 対外協力係
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