HOME > ニュース > プレスリリース > マイクロ波の非熱的効果により植物由来の素材 ポリ乳酸プラスチックの短時間合成に成功
平成26年6月12日
自然科学研究機構 核融合科学研究所
国立大学法人名古屋工業大学(以下、「名古屋工業大学」、学長:鵜飼裕之、所在地:名古屋市昭和区御器所町)、大学共同利用機関法人自然科学研究機構核融合科学研究所(以下、「核融合科学研究所」、所長:小森彰夫、所在地:土岐市下石町322-6)及び中部電力株式会社(以下「中部電力」、代表取締役社長:水野明久、所在地:名古屋市東区東新町1番地)は共同で、ポリ乳酸をマイクロ波の非熱的効果を使って素早く製造する技術を開発した。ポリ乳酸とはサトウキビ、トウモロコシ、生ごみのでんぷんを抽出し発酵させた乳酸を縮合(重縮合)させて得られる自然にやさしいプラスチックで、石油由来でないプラスチックとして普及が期待されている。今回の技術はプラスチック産業の材料製造工程の低温化・短時間化を実現し、省エネルギーへ大きく貢献する可能性がある。この成果はイギリス王立化学会Polymer Chemistryに掲載予定。
名古屋工業大学、核融合科学研究所及び中部電力は、3年前に共同研究契約を締結。還流(温度一定)条件で乳酸(名古屋工業大学分担)の重縮合に、マイクロ波(核融合科学研究所分担)を用いることに成功。この過程でマイクロ波の非熱的効果を明らかにするという学術的知見も得られた。また、シングルモード波共振器を用いて、マイクロ波を電気成分と磁気成分に分離、各成分がポリ乳酸合成に与える影響を調査し、電気成分が化学反応の促進に、より有効であることを解明した。さらに、エネルギーの効率的な利用技術に関する豊富な知見を持つ中部電力が中心となり、プラスチック産業等の生産プロセスへの実用化に向け取り組んでいる。
■マイクロ波とは
電磁波の一種。一般的には電子レンジで食品などを温めることに使われている。近年、化学反応についても新規加熱法として注目されている。
■非熱的効果とは
マイクロ波化学において、マイクロ波加熱を用いて合成する場合に起きる、熱では説明できない現象を指す。マイクロ波化学は研究の歴史が浅く、正確な定義はあいまいではあるが、非熱的効果に関する過去の報告例の多くは熱伝導速度による熱的な効果として考えられており、更なる調査が期待されていた。
【この件に関するお問い合わせ】
大学共同利用機関法人 自然科学研究機構 核融合科学研究所
管理部 総務企画課 対外協力係