課題番号17

有川安信(⼤阪⼤学)

核融合点⽕を⽬指した爆縮・加熱⾼効率化の挑戦

慣性核融合における点⽕燃焼に向けた研究

カテゴリー: A1, A2, B6, B10, B14, B15

⽬指すもの(output)︓

- 核融合点⽕条件の実現

- 建設可能なサイズのレーザー装置による慣性核融合システムの設計と原理実証

波及(outcome)︓

- ⾼効率で点光源極短パルスのX 線源・中性⼦源、EUV 光源

課題17イメージ

⾼速点⽕核融合統合実験の燃料とレーザーの配置図。これら複合ターゲットにより⾼効率に核融合点⽕が実現できると期待されている。

慣性核融合では、核融合反応によりエネルギー出⼒ができる状態「点⽕」に到達するためには、イオン温度を⾼める(加熱する、1億度が必要)と燃料の密度を⾼める(圧縮する、固体密度の1000 倍の密度が必要)ことである。⾼速点⽕と呼ばれる新⽅式では、圧縮(図の緑のレーザービーム)と加熱(図の紫のレーザービーム)を別々のレーザーで⾏う。それらの性能を最⼤限に引き出すために、ターゲット構造変更やレーザー条件の最適化などの多くの研究が進められている。

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加熱の効率を⾼めるために、レーザー装置の開発はもちろん、強⼒な磁場を加えること、また燃料に新たな構造物を付加するなど多様な新⼿法が提案されており、研究が進められている。慣性核融合に必要な重イオンやレーザーのパワーをいかに⼩さくできるか、という課題に向かって挑戦を続けている。核融合発電に必要な重イオンまたはレーザーの特性(エネルギー、ビーム数、エネルギーや波⻑など)の決定をすること、ならびにできるだけ⼩さいエネルギーで核融合点⽕を実現する事が重要である。そのために、現状のキロジュール級の実験装置で、点⽕に必要と⾔われるメガジュール級の実験をスケールダウンした実験を⾏っている。例えば⾼速点⽕レーザー核融合⽅式では図のように核融合燃料に加熱レーザーガイド⽤にコーンが取り付けられている。加熱レーザーを効率良く導⼊する⼀⽅で、主燃料の爆縮レーザーによって破壊されない強度を持たせる必要がある。コーンの形状、先端の材質、⽳開きコーン、などなど多数の開発課題がある。また加熱レーザー照射時に発⽣する電⼦ビームは、⾓度広がりが⾮常に⼤きく燃料に届くまでに拡散してしまうという問題があるため、電⼦ビームを効率良く爆縮燃料まで導くために、⾮常に強い磁場を⽤いる⼿法がある。図に⽰されるようなキャパシターコイルと呼ばれる⼩さなデバイスが開発され導⼊されている。

[1] S. Sakata, et. al., “Magnetized fast isochoric laser heating for efficient creation of ultra-high-energy-density states” nature communications, 9, 3937, (2018)

[2] S. Fujioka, et. al., “Kilotesla Magnetic Field due to a Capacitor-Coil Target Driven by High Power Laser” Scientific Reports, 3, 1170, (2013)