課題番号21

藤原⼤(核融合科学研究所)

⾼エネルギー粒⼦を計測する!

⾼エネルギー粒⼦位相空間分布計測

カテゴリー: A1, B2, B4, B5, B6, B13

⽬指すもの(output)︓

- ⾼温プラズマ中の⾼エネルギー粒⼦の速度分布・空間分布の取得

- ⾼エネルギー粒⼦輸送の予測・制御

- ⾮線形現象の予測・制御

波及(outcome)︓

- 核融合炉の実現と⾼効率化や炉⼼プラズマの閉じ込め時間に対する条件の緩和

- 宇宙物理、⾮線形物理、実空間・速度空間物理,⾼速制御技術、予測制御技術

課題21イメージ

⾼速イオン荷電交換分光計測を⽤いた⾼温プラズマ中の⾼エネルギー粒⼦計測結果

(Y. Fujiwara et al 2020 Nucl. Fusion 60 112014)

核燃焼プラズマは核融合反応で⽣成される⾼エネルギーアルファ粒⼦がエネルギー源となり⾼温状態が維持される。プラズマ中の⾼エネルギー粒⼦の情報を取得することは、プラズマの加熱物理及び⾼エネルギー粒⼦の輸送物理を明らかにし、予測するために必要である。しかし、1 億度以上のプラズマ内部の情報を得ることは容易ではない。今後、ITER や原型炉に向けて⾼時間分解能・⾼空間分解能で情報量が多い⾰新的な⾼エネルギー粒⼦計測器の研究開発が期待される。

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核燃焼プラズマは核融合反応で⽣成される⾼エネルギーアルファ粒⼦がプラズマを加熱することで、核融合反応に必要な⾼温状態を維持し⾃律的に燃焼が持続される。このため、⾼エネルギーアルファ粒⼦の良好な閉じ込めが核燃焼プラズマの実現には必須の条件である。では、良好な閉じ込めを実現するためには、⾼温プラズマの中で⾼エネルギー粒⼦は“どのような分布”で、“どのような速度”で、“どのような⽅向”に動いているのか情報を取得する必要がある。また、波動粒⼦相互作⽤などによりプラズマが不安定化した場合、閉じ込めの劣化が指摘されていることから、⾼エネルギー粒⼦は”どのように輸送され、損失されるのか”という情報を実験的に取得する必要がある。このように、⾼温プラズマ中の⾼エネルギー粒⼦の情報(速度分布、空間分布など)を実験的に取得することは、プラズマの加熱物理を把握することになる。更に、⾮線形的に発⽣する異常輸送を予測するための指標となり、その物理メカニズムを明らかにすることで、⾼エネルギー粒⼦の閉じ込めを改善する⽅法の開拓が期待されている。現在⽤いられている計測装置は、中性⼦検出器、中性粒⼦検出器、荷電交換分光計測器が代表的である。また、トムソン散乱法やBe 不純物とアルファ粒⼦の反応で発⽣するガンマ線により実速度空間分布計測をする⽅法などが研究開発されている。

[1] ⻑壁正樹ほか、講座「輸送解析から⾒た⾼エネルギー粒⼦計測⼿法」、プラズマ・核融合学会誌(2004)

[2] 永岡賢⼀ほか、⼩特集「ジオスペースと実験室におけるプラズマの波動粒⼦相互作⽤の進展」、プラズマ・核融合学会誌(2021)