課題番号24

星野⼀⽣(慶應義塾⼤学)

壁と磁場の形状で熱と粒⼦を制御する

幾何・磁場形状によるダイバータ最適化

カテゴリー: A1, B1, B7, B8, B9

⽬指すもの(output)︓

- ダイバータの幾何形状・磁場配位による熱・粒⼦制御の改善

波及(outcome)︓

- プラズマ・壁相互作⽤の理解の深化

- 磁場によるプラズマ・不純物輸送制御

課題24イメージ

様々なダイバータの幾何形状(磁場とダイバータ構造)

(⾚線は磁気⾯、緑はダイバータ構造を表す)

炉⼼から排出されたヘリウム灰やプラズマを受け⽌め、その排気と除熱、さらに炉内不純物の制御などを実現する機構は「ダイバータ」と呼ばれ、磁場閉じ込め装置において重要な役割を担う。しかし、多くの熱・粒⼦が限られたダイバータ領域へ集中するため、最終的にそれらを受け⽌めるダイバータ板の損傷が深刻な課題となる。ダイバータの排気機能、不純物制御機能を向上させると同時に、熱・粒⼦による損傷を低減させるために、様々なダイバータ幾何形状や磁場配位の提案が⾏われ、実験や数値シミュレーションによりその有⽤性の検証が進められている。

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炉⼼から排出されたプラズマや核融合反応で⽣じるヘリウム灰は、炉⼼を取り囲む周辺領域の磁場に沿って輸送されダイバータへ到達する。ダイバータでは再結合による中性化や圧縮、除熱が⾏われ、最終的にはガスとして排気される。また、プラズマと炉壁との接触⾯を減らすことで、炉⼼プラズマからの炉壁保護と、炉壁から発⽣する不純物を制御する役割も担う。しかし、ダイバータはその構造・役割上、⾼い熱・粒⼦負荷にさらされ、ダイバータ板の損傷が課題となり、損傷低減のため⾮接触ダイバータ運転が考えられている。効率的な⾮接触ダイバータの形成、ダイバータ機能の向上、さらには、それらと⾼性能な炉⼼プラズマとの両⽴を⽬指し、様々なダイバータ幾何形状や磁場配位が提案されている。ダイバータ幾何形状としては、磁⼒線とターゲットの⾓度を浅くしたり、ダイバータ領域を磁⼒線に沿って⻑くしたりすることで、受熱⾯積の増加や⾮接触ダイバータの効率的な形成・維持を図っている。また、限られた空間で同様な効果をねらった新しい磁場配位も提案されている。例えば、Super-X ダイバータは、ダイバータ領域に2nd X 点(ポロイダル磁場の鞍点)を配置し磁⼒線⻑を稼ぐとともに、ターゲットを装置外側へ引き出すことで、受熱⾯積を増⼤させている。Snow Flake ダイバータは、通常四重極であるX 点を六重極にすることで、磁⼒線の延⻑と受熱⾯積の増⼤を図っている。その他にも、X ダイバータ、アイランドダイバータ等、様々な概念のダイバータ配位が提案されている。また、⾼熱負荷と⾼損耗を克服するために、固体材料ではなく液体⾦属を⽤いた液体ダイバータも提案されている。新しいダイバータ概念はその評価と共に、まだ克服すべき課題(制御性、⼯学的実現性、等)があるものも多く、研究が進められている。

[1] M. Kotschenreuther, et al. Phys. Plasmas 14, (2007) 072502

[2] D. Ryutov, et al. Phys. Plasmas, 14 (2007) 064502

[3] N. Asakura, et al., Transactions of Fusion Science and Technology 64 (2013) 70