課題番号31

有川安信(⼤阪⼤学)

繰り返しのできる⾼エネルギーレーザーの実現

慣性核融合⽤⾼エネルギー繰り返しレーザーの開発

カテゴリー: A1, A3, B11, B14, B15

⽬指すもの(output)︓

- ⾼エネルギー⾼繰り返しレーザーの実現

波及(outcome)︓

- レーザー核融合発電実証の最も重要なマイルストーン

- レーザー加⼯などの産業応⽤利⽤

課題31イメージ

レーザー核融合発電⽤レーザーの構想図

レーザー核融合では⼤エネルギーレーザーにより核融合燃料を圧縮・加熱して点⽕・燃焼に⾄らしめる。これを連続的に繰り返すことで定常発電を⾏う。従来のレーザー核融合実験に⽤いられてきたレーザーは、⼤エネルギーではあるが繰り返し頻度が低い(1 時間に 1 発)という問題があった。レーザー核融合発電のためには 0.1 秒に 1 発を発射する必要がある。現在、⼤エネルギー⾼繰り返しの新しいレーザー装置の開発が進められている。レーザーダイオードを励起光発⽣装置に⽤い、新しいセラミクス材料をレーザー媒質として⽤いることでこれが実現する。

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これまでの⼤エネルギーのレーザーは、⼤エネルギーを作り出すために、⼤きなレーザーネオジム添加ガラスが使われてきたが、ガラスの熱伝導の特性により放熱効率が低かった。またネオジム添加ガラスの励起に⼤エネルギーフラッシュランプが⽤いられてきたが、フラッシュランプの波⻑スペクトルは⽩⾊であるため、レーザーへの光変換率が悪く、無駄な熱を発⽣させていた。これらの熱の問題により⾼繰り返しレーザー発射ができなかった。将来のレーザー核融合発電に⽤いられるレーザーは、フラッシュランプの代わりに単⾊性の⾼い半導体レーザーが⽤いられ、ガラスの代わりにセラミックスが⽤いられる。この⽅式により⼤エネルギーかつ⾼繰り返しのレーザーが実現できる。国内外で開発が進んでおり、⽇本においては阪⼤・浜松ホトニクスならびに国内企業との連携によりすでに 1 モジュールの⼤エネルギー⾼繰り返しレーザー装置が完成しつつある。イットリビウム添加セラミックスをレーザー媒質として⽤い、それを液体窒素で冷却することでレーザー増幅効率を極限まで⾼めている。またハイパワー半導体レーザーダイオード(細かいレーザーダイオードが多数セグメント化されている)が実⽤化され、電気からレーザーへのエネルギー変換効率は⾶躍的に向上している。セラミックス媒質とダイオード励起を⽤いたレーザーを⽤いればレーザー核融合発電が実現できる。

またこのような⼤エネルギー⾼繰り返しレーザーは、レーザー加⼯機、レーザー溶接機など、⾮常に幅広い産業応⽤に⽤いることができる。

[1] 神前康次, 乗松孝好, 疇地宏, 宮永憲明, 苫⽶地顕, プラズマ核融合学会誌「⼩特集 ⾼速点⽕レーザー核融合発電プラント(KOYO-Fast)の概念設計」第⼆章、J. Plasma Fusion Res. Vol.82, No.12 (2006)817-818