課題番号36

有川安信(⼤阪⼤学)

慣性核融合発電炉で⽤いられる核融合燃料ペレット

極低温重⽔素三重⽔素燃料ペレットの⼤量⽣産と連続射出

カテゴリー: A1, A2, B14, B15

⽬指すもの(output)︓

- 重⽔素三重⽔素ペレットの⼤量⽣産と連続射出

波及(outcome)︓

- ⽔素蓄積技術、極低温⼯学技術、⽔素同位体科学

課題36イメージ

レーザー核融合発電⽤燃料ペレット

レーザー核融合発電では、重⽔素三重⽔素(DT)燃料を固体(氷)にして 0.5~2mm 直径にしたものが⽤いられる。さらに⾼速点⽕⽅式の場合は加熱レーザー導⼊⽤のコーンが取り付けられている。これを 0.1 秒に 1 発、安定かつ⾼精度に射出し、発射地点からレーザーが集光される場所までマシンガンのように発射する必要がある。カプセルの材料開発、重⽔素三重⽔素の氷を作る研究、放射性物質である三重⽔素の取り扱い技術の研究、⼤量⽣産技術、燃料の射出と位置精度確認の研究などが重要課題であり、研究が進められている。

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重⽔素三重⽔素は、18 ケルビン以下に冷却することで固化する。この際に、急激に凍らせるのではなく、緩やかに段階的に固化させることで結晶状態の重⽔素三重⽔素を⽣成することで、均⼀な燃料カプセルを⽣成することができる。DT 氷はプラスチック製のカプセルに詰まっており、重⽔素三重⽔素氷の蒸発を防⽌する機能を担っている。このために⾼精度な真球のプラスチックカプセルを作ることも重要課題である。⾼速点⽕レーザー核融合⽤のコーン付きの燃料ペレットの場合、コーンは⾦属製であるため DT よりも熱伝導が良いため、コーンの周りが冷えすぎて DT 氷が不均⼀になる問題もある。コーン付き燃料ペレットを⾼速で射出するために、⾼圧ガスガンが⽤いられるが、射出時には燃料ペレットを保護して加速したあと、空中で分離するサボーと呼ばれる部品が⽤いられる(図参照)。またこれを 0.1 秒に 1 個連続的に射出するために、DT 燃料がペレットに充填され、冷却固化されて、連続的にガスガンに送り込まれて出射できるシステムの構築が必要です。三重⽔素は放射性物質であるため、安全に貯蔵するために⽔素吸蔵合⾦が⽤いられる。これは⾞で⽤いられている⽔素燃料タンクとしての応⽤が期待されている。また極低温状態の液化⽔素の取り扱いに関する知⾒は産業応⽤にとって⾮常に重要である。

[1] 神前康次, 乗松孝好, 疇地宏, 宮永憲明, 苫⽶地顕, プラズマ核融合学会誌「⼩特集 ⾼速点⽕レーザー核融合発電プラント(KOYO-Fast)の概念設計」第4章、J. Plasma Fusion Res. Vol.82, No.12 (2006)817