課題番号39

福本直之(兵庫県⽴⼤学)

⾼速⾶⾏の⾼密度プラズマ塊で粒⼦やエネルギーを運ぶ

磁化同軸プラズマガンの開発・応⽤

カテゴリー: A1, A2, A3, B7, B8, B11

⽬指すもの(output)︓

- 炉⼼プラズマへの燃料粒⼦供給・密度分布制御

- 不純物含有プラズマ⼊射によるディスラプション緩和

- 粒⼦輸送トレーサー利⽤,

- プラズマ対向機器材料への短パルス熱負荷模擬

波及(outcome)︓

- 核融合炉の燃料供給・燃焼制御技術,粒⼦輸送研究⽀援

- 先進的・⾰新的ダイバータシステム開発⽀援

- 磁気圏型プラズマ装置でのオーロラ模擬研究⽀援

- MTF(Magnetized Target Fusion)利⽤、成膜や材料表⾯改質などの産業応⽤など

課題39イメージ

磁化同軸プラズマガンを⽤いた

CT プラズマ⼊射・照射

磁化同軸プラズマガン(MCPG)は,⾃⼰内部電流により磁場配位が維持されるスフェロマック(Spheromak)型コンパクト・トーラス(CT)の特徴を活かし,CT プラズマを⽣成・加速・射出することができる.CT プラズマは,数百 km/s(数百 eV に相当,最速記録は 2,500km/s)に加速されることで,その運動エネルギーにより閉じ込め磁場を横切って炉⼼プラズマの中⼼領域まで進⼊したり,ターゲット材料に衝突することで熱エネルギーに変換され材料表⾯を急速に加熱したりすることが可能となる.⼀⽅で,安定した繰り返し射出などの課題も残されている.

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プラズマ⽣成部から切り離し移送することが可能である CT プラズマの特徴を活かし,MCPG を⽤いて,(球状)トカマクや FRC の核融合炉⼼プラズマへ⼊射する燃料注⼊法の開発研究が⾏われている.近年では,核融合炉壁やダイバータ板のプラズマ対向機器の材料であるタングステン等へ CT プラズマを照射することで,短パルス熱・粒⼦負荷模擬試験の研究が⾏われている.材料関係では,原型炉開発に向けた先進的な液体⾦属や⾰新的なペブルダイバータにおけるプラズマ照射研究も開始されようとしている.プラズマ科学分野への展開として,プラズマ⼊射による磁気圏プラズマのオーロラ模擬研究も計画されている.また,カナダや⽶国のベンチャー企業による核融合開発 MTF(Magnetized Target Fusion)では,ターゲットプラズマの⽣成源としても利⽤されている.MCPG 装置の研究として,燃料供給や ELM 模擬などでは孤⽴した短パルス CT プラズマの繰り返し射出が求められており,安定した連続 CT 射出を可能とする電源を含めた MCPG システムの開発や余剰ガスの抑制など動作ガス制御が課題となっている.

[1] 宇⼭忠男,永⽥正義,プラズマ・核融合学会誌 74, No.3, 200-216(1998).<解説・燃料供給応⽤>

[2] 福本直之,宮沢順⼀,プラズマ・核融合学会誌 77, No.3, 246-251(2001).<⼩特集・燃料供給応⽤>

[3] 菊池祐介,澤⽥圭司,⾼村秀⼀,上⽥良夫,永⽥正義,プラズマ・核融合学会誌 90, No.8, 480-488(2014).<⼩特集・材料照射応⽤>

[4] 永⽥正義,神吉隆司,プラズマ・核融合学会誌 93, No.12,563-572(2017).<解説・MTF 応⽤>