課題番号49

高橋俊樹(群馬大学)

探究︕ 次世代⾼効率核融合発電⽅式

先進燃料による核融合発電システムの概念設計

カテゴリー: A2, B3, B6, B7, B11, B15

⽬指すもの(output)︓

- 次世代核融合⽅式の実現可能性検証

波及(outcome)︓

- 直接エネルギー変換器の開発と実証

- コア燃料供給法の創成

- プラズマ中の核物理現象の実験検証

- ヘリウム排気技術の新提案

課題49イメージ

日本初 1GWe D-3He燃料FRC核融合概念設計炉

"ARTEMIS"

先進燃料の定義として明確なものはないが、広義には D-T 燃料以外である。例えば、D-D、D-3He、3He-3He、p-6Li、p-11B などが挙げられる。ただし、「先進」であるためには、点⽕条件を満⾜できる閉じ込めの実現が⾒込める上で、トリチウムと 14MeV 中性⼦に由来する諸問題を根本的に解決する必要がある。この観点で⽐較的多く検討されているのが、D-3He と p-11B である。構造材の脆化・放射化を軽減し維持コストを削減でき、⽣成した⾼エネルギー荷電粒⼦を直接電気エネルギーに変換できれば、より経済性の⾼い核融合発電⽅式を実現できるのではないか︖

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先進燃料核融合は、トリチウム増殖を必要とせず、14MeV 中性⼦に由来する構造材の脆化・放射化を抑制し、荷電粒⼦のエネルギーを直接電気エネルギーに変換できるメリットがある。この反⾯、イオン温度や密度閉じ込め時間積に要請される条件は、D-T 反応の数倍から 10 倍程度まで⾼くなる。⾼温下でのシンクロトロン放射損失は、強磁場閉じ込めプラズマで⼤きくなるため、良好な閉じ込め特性を有する⾼ベータプラズマが求められる。近年の研究で、クーロン衝突を介さない核弾性散乱によって、⽣成粒⼦から燃料イオンへのエネルギー付与率が従来の評価よりも格段に向上することが⽰されており、それに伴って要請条件は緩和されている。また、核融合出⼒に対する荷電粒⼦出⼒が⼤きく、線形加速器の逆過程を利⽤した進⾏波型直接エネルギー変換器(TWDEC)の導⼊で、荷電粒⼦の運動エネルギーを電気エネルギーへ⾼効率に変換できることで発電プラント効率の向上が期待される。このため、TWDEC の実験検証は重要課題である。また、⾼エネルギー荷電粒⼦の閉じ込めや⾼エネルギー荷電粒⼦によって駆動される不安定性など、今後の検討が必要とされる。

[1] 浅井朋彦ほか、⼩特集「企業による核融合研究の最近の動向」、プラズマ・核融合学会誌 93、18-46 (2017).

[2] 松浦秀明ほか、⼩特集「核燃焼プラズマにおける核弾性散乱とその炉⼼特性への影響」、プラズマ・核融合学会誌 91、449-478 (2015).

[3] 神前康次ほか、⼩特集「D-3He 核融合とその開発課題」、プラズマ・核融合学会誌 71、469-531 (1995).