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平成26年11月6日
第18サイクルのプラズマ実験を開始しました
大学共同利用機関法人 自然科学研究機構
核融合科学研究所
 

 大型ヘリカル装置(LHD)の第18サイクルプラズマ実験を本日開始しました。平成10年に実験を開始して以来、18回目の実験期間となります。本年度のLHDプラズマ実験は、11月6日から、年末年始の休止期間をはさんで、来年の2月5日までの延べ13週間を予定しています。この間に約7,000回のプラズマ放電実験を行い、全国の大学・研究機関ならびに海外の共同研究者と共に、核融合エネルギーの実現に向けた高温プラズマの学術研究を推進していきます。
LHDでは、本年2月より装置の改造・メンテナンス作業ならびに装置の信頼性を高めるための調整作業を進めてきましたが、それらも9月上旬に終了し、9月16日に真空排気を開始して本年度の運転をスタートしました。そして、10月8日より超伝導コイルシステムの冷却を開始し、予定どおり11月3日にマイナス270度への冷却が完了しました。超伝導コイルの健全性を確かめるため、11月4日、5日には通電試験を実施し、それも無事終了しました。そして、本日、11月6日に第18サイクルプラズマ実験を開始したところです。実験期間終了後には、1ヶ月ほどをかけて超伝導コイルを室温まで昇温しますが、それを含めた装置の運転期間は約半年間に及び、この期間をサイクルと呼んでいます。通常、1年に1サイクルの実験を行っていますが、実験開始年のみ2サイクルの実験を実施したため、17年目となる今年は第18サイクルとなります。
LHDは我が国独自のアイデアに基づいて、らせん状にねじれたドーナツ形状の磁場を超伝導の電磁石で作り、これにより高温のプラズマを閉じ込める研究を行っています。今年の第18サイクルプラズマ実験では、周波数154GHzのマイクロ波による電子加熱装置を増強しました。それを活用して、プラズマ性能をさらに向上させ、得られた高性能プラズマを詳細に調べて、将来の核融合エネルギーの実現に必要な高温プラズマに関する学術的解明を進めます。具体的には、高電子温度プラズマの性能向上、高性能プラズマの長時間維持、比較的高い磁場における高圧力プラズマの実現などを目指すとともに、それらの学術的な理解の統合を図っていきます。
実験は安全を最優先に進めます。LHDの基本情報は本研究所ホームページをご参照ください。また、第18サイクル実験の進捗状況については、研究レポートとしてホームページ上の本欄で報告させて頂くと共に、これまで通り、配信登録をいただいている方へはメールでもお知らせします。
第18サイクル実験を安全に遂行し、大きな成果が得られますよう、ご協力、ご支援の程、どうぞよろしくお願いいたします。

以上