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平成27年2月9日
第18サイクルプラズマ実験が終了 -プラズマの高性能化が進展-
大学共同利用機関法人 自然科学研究機構
核融合科学研究所
 

 大型ヘリカル装置(LHD)の本年度のプラズマ実験が2月5日に終了しました。平成10年の実験開始以来、今回で18回目となる第18サイクルプラズマ実験は、11月6日の開始以来、延べ44日間にわたり、6,400回を越えるプラズマ放電を行いました。この間、国内の大学・研究機関や海外からの多くの研究者と共同して、様々な実験および研究を進めました。実験期間中の1月23日には、平成10年の実験開始から数えて17年で、13万回目のプラズマ放電を達成しました。LHDでは超伝導コイルシステムの高い運転信頼性により、他の大型装置では例を見ない速いペースで実験が進められており、これにより、様々な成果を次々と挙げることができています。
本年度の実験でもLHDプラズマの高性能化がさらに進むなど、数多くの成果が得られ、研究を大きく進展させることができました。増強した周波数154GHzのマイクロ波を用いた電子加熱実験により、従来より高い密度で1億度を超える電子温度を達成しました。また、イオン温度と電子温度がほぼ等しい高温度のプラズマの性質が詳細に調べられ、さらに、プラズマを閉じ込める磁場強度が1テスラ(1万ガウス)と比較的高い条件でより高い圧力のプラズマを保持するなど、将来の核融合エネルギー実現へ向けた研究が進展しました。並行して、磁場のカゴに閉じ込められて宙に浮いているプラズマの安定性を詳しく調べるなど、プラズマの高性能化に伴って発現する複雑な現象を解明するための物理的な実験も精力的に行い、将来の核融合発電所の設計に必要な学術的理解をさらに深めることができました。本年度の実験成果については、今後データ解析を進めて、改めてご報告します。
LHDでは、プラズマ実験の終了に伴い、マイナス270度に冷やしていた超伝導磁石を室温に昇温する運転を2月6日から行っています。室温まで4週間かけて少しずつ温度を上げていきます。そして、昇温が終了する3月上旬から、来年度の実験に向けた保守点検作業を始める予定です。プラズマ実験期間中はLHDの見学に制限がありましたが、来年度のプラズマ実験の開始までは、LHDを間近に見学いただけますので、どうぞお気軽にお越しください。

以上