ECHってなに
プラズマは正の電荷を持ったイオンと負の電荷を持った電子が集まって出来ています。核融合を起こすには、反発し合うイオンとイオンをぶつかるまで近づける必要があります。そのために、プラズマを加熱して(温度を上げて)イオンが激しく動き回るようにします。水素プラズマの場合、温度が1億度以上、密度が100兆個/ccになると核融合反応がたくさん起こるようになります。しかし電子が冷たいままではイオンの温度も上がりませんし、積極的に電子を加熱することで間接的にイオンの温度を上げることも出来ます。この、電子を加熱する(温度を上げる)方法の一つが電子サイクロトロン共鳴加熱(ECH)です。
ECHは、電子のサイクロトロン周波数(電子が磁場中で1秒間に旋回する回数)またはその整数倍に近い周波数の強力なミリ波(波長がミリメートルの範囲の電磁波)をアンテナを使ってプラズマに入射し、ミリ波の作る電場の振動をプラズマの電子の旋回運動に共鳴させてそのエネルギーを電子に与え、加熱する方法です。通常、強い磁場でプラズマを閉じ込める核融合プラズマ研究には、振動数で数十から百数十GHz (1GHz:1ギガヘルツは1000MHzのこと)、波長でいうと2mmから10mm程度のミリ波が使用されます 。

LHDではその磁場の強さ(3T以下)に合わせて84GHzと168GHz、最近では77GHzのミリ波も使って実験を行っています。




電子が磁力線に巻き付いて回転運動する周期と同じかその整数倍の周期で振動する電磁波により電子が加熱される