研究力強化戦略室の若手研究者支援プログラム「発展的研究計画スタート支援事業」

  研究力強化戦略室は、文部科学省が2013年に開始した「研究大学強化促進事業」に自然科学研究機構が採択された結果、機構内の各機関に設置された組織です。同事業は国内の優れた研究活動を行う大学及び大学共同利用機関を選別し、その研究力強化策を支援するもので、ユニバーシティ・リサーチ・アドミニストレータ(URA:研究マネジメント人材)が雇用・配置され、その任に当たります。

 核融合科学研究所の研究力強化戦略室では、3名のURAが、「IR・評価」、「広報力強化」、「財政基盤強化」、「共同研究力強化」、「若手研究力・キャリアパス強化」の五つのタスクを担当し、所員で構成される各タスクメンバーとともに活動を進めています。

 今回紹介しますのは、若手研究力・キャリアパス強化タスクの活動の一環として進めている「発展的研究計画スタート支援事業」です。これは2021年度に開始した事業で、核融合科学研究所の若手研究者による自発的な研究プログラムの立ち上げフェイズの研究経費、または海外長期派遣の経費の支援を行います。この事業による経費の支援は単年度ですが、初年度のスタート支援の経費を元手として次年度以後も研究が継続されることを想定しています。また、次年度以後の研究経費は、所外の競争的資金や産学連携などにより獲得することを奨励しており、この事業を通じて、若手研究者が研究資金獲得の素養を身につけることを期待するものです。

  2022年度は7件の申請があり、若手研究力・キャリアパス強化タスクメンバーにより審査を行い、以下の3課題の採用が決まりました。

(1)後藤勇樹
「電子サイクロトロン運動とその放射場の解の探求」(海外派遣支援)

(2)小林真
「水素超透過による材料内過飽和量水素の移行現象の理解と応用の創出」(研究経費支援)

(3)能登裕之
「変態超塑性を応用した革新的成形法の創生」(研究経費支援)

後藤勇樹さんについては、すでに今年3月からテキサス大学オースチン校での派遣研究を開始しています。

  なお、2021年度は、以下3課題の研究経費支援を行いました。

  • (1)川手朋子、他1名:「非等方場中にあるプラズマの微細磁場構造の理解」
  • (2)上原日和:「フェムト秒レーザーを用いた光デバイス開発に基づく萌芽的研究課題の創出」
  • (3)辻村亨:「光渦を用いた新しい電子サイクロトロン加熱」
  これらの課題の研究成果の報告会が4月28日(木)午後、オンラインで開かれ、研究の目的・意義、1年間の研究成果、予算の主な使用、今後の展望と研究経費獲得の見通し、などについての報告と質疑応答が行われました。若手研究力・キャリアパス強化タスクでは、これら2021年度の課題についても、今後の研究の発展を引き続きモニターし、必要に応じて助言を行います。

「発展的研究計画スタート支援事業」に関する情報は、 研究力強化戦略室ホームページの「若手研究支援」 に掲載されていますので、ご覧ください。

(室賀健夫 研究力強化戦略室特任教授(URA職員))


【用語解説】
  • IR:Institutional Research(ここでは研究所の戦略を策定するのに必要な情報の収集と分析を意味します)