第7回アジア太平洋プラズマ物理分科会(AAPPS-DPP2023)の開催

永岡賢一


 核融合科学研究所が共催した第7回アジア太平洋物理学会プラズマ物理分科会(AAPPS-DPP2023)がポートメッセなごや(名古屋市港区)で2023年11月12日~17日まで開催されました。この会議は、アジア太平洋地域を中心とした世界中のプラズマ物理諸分野(プラズマ応用、天文プラズマ、レーザープラズマ、磁場核融合プラズマなど)を対象に毎年開催されています。今回は、研究者約700名が参加して活発な情報交換と研究発表を行いました。

「チャンドラセカール賞」等を本研究所の居田克巳特任教授らが受賞

 本会議の開会式は、吉田善章核融合科学研究所長の挨拶から始まり、日本のプラズマ核融合分野の最近の活動を紹介しました。

居田特任教授の受賞記念講演の様子

 開会式の後半では、各学会賞の授賞式が行われ、アジアのプラズマ物理学の先駆者であるノーベル物理学賞受賞者 チャンドラセカール博士を記念した「チャンドラセカール賞」を本研究所の居田克巳特任教授が受賞し、その表彰式が行われました。居田教授は開会式に続く最初のセッションで、「Experimental discoveries of a variety of turbulent states of magnetic fusion plasma」と題した受賞記念講演を行いました。

 また、40歳以下を対象とした「Young Researcher Award」と30歳未満を対象とした「U30 Scientist and Student Award」を、本研究所の前山伸也准教授と太田雅人助教がそれぞれ受賞し、表彰されました。

各賞受賞者と学会関係者の記念撮影

プラズマ物理分野において、活発な議論が行われた

 この会議の特徴は、プラズマ物理分野を9つの話題(トピカルセッション)(Cross Disciplinary Session, Fundamental Plasma Physics, Basic Plasma Physics, Applied Plasma Physics, Laser Plasma Physics, Space and Geomagnetism Plasma Physics, Solar and Astro Plasma Physics, Magnetic Fusion Plasma Physics(Core & Edge), Organized Session)でカバーしていることです。それぞれにおいて、その分野の著名な研究者がプログラムリーダーを務め、基調講演、招待講演、一般講演、ポスター発表を取り仕切ります。

 期間中、午前は基調講演、午後は、カテゴリー毎に分かれた口頭発表とポスター発表を行いました。予定していた講演数を超える応募があったトピカルセッションもあり、最も多い日は、11個のセッションが並行して行われました。非常に多くの会場に分かれてしまいましたが、大変魅力的なセッションが多数企画されていたため、立ち見が出る会場がいくつも見られました。

磁気リコネクションに関するOrganized sessionの様子

 今回は新しい試みとして、会議参加者の発案で1つのセッション(約2時間枠)を提案できるOrganized Sessionが企画されました。学際的なテーマを持ったセッションが11件提案され、磁場閉じ込め核融合科学の学際的な研究テーマが広く議論されました。実験室プラズマにおける位相空間乱流、宇宙プラズマと実験室プラズマの波動粒子相互作用、磁気リコネクションと磁気流体現象、機械学習を用いた磁場核融合研究などのOrganized Sessionは、非常に活発な議論が行われました。

充実したソーシャルプログラムで、研究者同士の活発な交流が行われた

 開会式前日の11月12日にはNIFSツアーを企画し、抽選で選ばれた約80名の会議参加者が核融合科学研究所に来所しました。LHDやスーパーコンピューターの見学に加え、ユニットの研究紹介ブースを設置し、各ユニットの研究計画及び現在行っている研究内容を紹介しました。これを機に研究者同士の交流が深まり、今後の共同研究等への発展も期待されます。

 開会式前夜には、現地登録を兼ねたレセプションを名古屋駅近くで行い、300人を超える参加者がありました。

 また、3日目には、ポートメッセ名古屋から徒歩5分のリニア鉄道館で歓迎パーティを行いました。今回は和太鼓の演奏を企画し、会議参加者に日本の伝統を体感していただきました。4日目には、ヒルトン名古屋でバンケットが行われるなど、ソーシャルプログラムも充実した会議になりました。

NIFS Tourで来所された会議参加者のLHDツアーの様子
リニア鉄道館で開催されたWelcome Partyの和太鼓パフォーマンスの様子
閉会式における現地実行委員の紹介の様子

 6日間にわたって開催された会議の閉会式では、ポスター賞の受賞式が行われました。本研究所職員:柳長門教授、山口裕之准教授、矢内亮馬助教、総研大生:Longyong Liaoさん、連携大生:西本守さん(名古屋大学大学院理学研究科)らが表彰されました。また、ポスター賞受賞者には、Springer社から提供いただいたプラズマに関する専門書が送られました。来年は、マラッカ(マレーシア)で開催されます。

 最後に、本会議の共催にあたり、会議運営に献身的に尽力していただいた現地実行委員の皆様並びに核融合科学研究所職員の皆様にこの場を借りて御礼申し上げます。

ポートメッセなごやの交流センター入口における全体集合写真

(メタ階層ダイナミクスユニット 教授)