研究者へのご寄附

利用可能な設備・装置

革新的エネルギー循環工学研究設備のご利用案内

自然科学研究機構 核融合科学研究所では、核融合炉の実現を目指す理学・工学研究を進めるため、超伝導技術、高温液体技術、核融合炉材料、耐熱機器など極限技術や新材料開発を支援する世界最大級の実験装置を核融合工学研究プロジェクトの一環として整備しました。本装置群を、国内外の研究機関や民間企業との幅広い共同研究・共同利用に供することにより、核融合工学研究を一層加速させるとともに、エネルギー循環工学という新しい分野の創成を目指し、若手研究者の育成にも貢献したいと考えています。

1.熱・物質流動ループ装置

高効率な核融合発電ブランケットシステムの実現を目指す

  • より高効率の先進ブランケットに用いる溶融塩(FLiNaK)と液体金属(LiPb)を 300 – 600 ℃で循環流動させるツインループ実験が可能な世界唯一の装置
  • ループに直交する 3 テスラの超伝導磁場は世界最大

2.温度可変低温設備・超伝導実験装置

任意の温度(室温〜極低温)のヘリウムを用いた大型超伝導実験

温度可変低温設備

冷凍能力  600W at 4.5K (250L/h)
冷媒供給能力  350W at 4.55K (50 g/s SHe)
1.0kW at 20–30K, 1.5kW at 40–50K

直流電源

75kA, 10kA, 6kA

大型クライオスタット

大口径導体試験装置 (13T, f0.7m)
大型導体試験装置 (9T, 100mm幅)
  • 各種大型試験装置を利用できる超伝導・低温工学の研究拠点
  • 温度可変機能の追加によって高温超伝導の特性評価が幅広い温度で可能

3.高温静水圧焼結接合システム

深海二万メートル相当の高圧下で二千度の高温圧縮を行う

  • 最大 2,000 気圧で最大 2,000℃ の高温熱処理で、粉末材料を押し固めての成形や、異種材料の接合を行う
  • 直径 10 cm、高さ 24 cm、重さ 24 kg までの材料を加工可能
  • 核融合炉のための高性能かつ多機能な先進材料の迅速な開発

4.超高熱負荷試験装置ACT2

高温プラズマによるダメージからどうやって真空容器を守るか

  • 高温プラズマから真空容器壁を守る「ダイバータ」の研究を行う
  • 強力な電子ビームを走査して材料表面に超高熱負荷を与える
  • 電子銃を強化し、従来の 100 kW から 300 kW に高出力化
  • 電子ビーム走査幅も 10 cm から 50 cm に増大

5.イオンビーム解析装置

百万ボルトの加速イオンビームで材料の内部を調べ尽くす

  • 端子電圧 100 万ボルト(1 MV)のタンデム型(二段)加速器で、水素やヘリウムのイオンを加速し、これを材料試料に撃ち込む
  • 材料表面に堆積している元素の深さ分析や、材料中に捕捉されている水素の深さ分布、ppmレベルの微量元素高感度分析などが可能

6.超高分解能電界放出型走査電子顕微鏡

十センチメートルの材料をナノメートルで表面観察

  • ナノメートルレベルでの表面観察や、高分解能での組成分析を行う
  • 10cm程度の大きさのサンプルでもそのまま分析可能

7.透過型電子顕微鏡(TEM)

二十万ボルトの加速電子ビームで材料内部を透かして見る

  • 20万ボルトで加速した電子により、材料内部の微細構造や元素分布を原子レベルで観察
  • 透過像や二次電子像など複数の像観察を統合処理し、組成像マッピングや三次元トモグラフィを得ることが可能

8.集束イオンビーム/電子ビーム加工観察装置

材料を厚さ百ナノメートルの超薄切りにして観察

  • 材料から厚さ100ナノメートルの TEM 観察用超薄断面試料片を作る
  • 超薄断面試料片を作る作業と同時に、微細構造や結晶方位、組成分析も可能
  • ガリウム(Ga)イオン銃と電子銃のデュアルビーム仕様

他にも分析、評価、材料試作などの各種装置を利用できます