総合研究大学院大学(総研大)・先端学術院・核融合科学コースは、2025年1月12日(日)から1月17日(金)まで、タイのラジャマンガラ工科大学スワンナプーム校で総研大アジアンスクールを開催しました。本スクールは、近年、経済発展が目覚ましい東南アジアの学生へ核融合研究を広く周知し、総研大・核融合科学コースへの入学を勧誘することを目的としており、2017年度からはタイ国家原子力技術研究所TINT: Thailand Institute of Nuclear Technology (Public Organization)が主催しているASEAN School on Plasma and Nuclear Fusion (ASPNF) との共催の形で開催しています。これは、核融合エネルギーに興味を持つ東南アジア諸国の優秀な学生が多数参加することを可能とするためです。今回は、タイ、インドネシア、インド、フィリピン、マレーシア及び日本から合計70名の参加がありました。
核融合科学研究所からは、後藤基志教授、川手朋子助教、武村勇輝助教と筆者の4名が講師として、加えて、総研大生4名も参加しました。総研大・核融合科学コースとして、30分の基調講演、60分の講義2コマ、及び30分の総研大・核融合科学コースの紹介を行いました。基調講演では、後藤教授が当研究所で行われている最新の研究成果について報告し、次いで、筆者が核融合プラズマにおける高エネルギー粒子と波動との相互作用、武村助教が核融合プラズマにおける電磁流体力学的不安定性について講義しました。総研大・核融合科学コースの紹介においては、川手助教が核融合科学コースと研究内容について述べた後、総研大生が学生生活の紹介を行いました。
また、本スクールにおいては、学生が6チームに分かれ、東南アジア初の磁場閉じ込めプラズマ実験装置であるThailand Tokamak-1を活用した実験演習を行い、電磁流体力学的不安定性解析を行いました。実際の磁場閉じ込めプラズマ実験装置においてプラズマ生成を行い、得たデータを解析するというところで、学生は、難しさを感じながらも、周りとの議論を行い果敢に取り組んでおりました。最終日には、チーム毎に実験結果に関わる口頭発表を行い、講師及び他の学生との質疑応答を行いました。
参加した学生は大変熱心で、休憩時間においても講師に質問を行うなど、強い意欲を感じました。総研大への進学についても、多数の質問を受けました。今後、本スクールの参加をきっかけとして、学生が総研大へ進学してくれることを願っております。総研大アジアンスクールを開催するにあたり、TINTとラジャマンガラ工科大学スワンナプーム校の皆様には、大変親身になってご協力頂きました。深く感謝いたします。


(構造形成・持続性ユニット 准教授)