オープンキャンパス2025  

本島 厳


 令和7年10月25日(土)、毎年恒例の秋のイベント、オープンキャンパス(一般公開)を開催しました。28回目となる今回、「体感!体験!プラズマエネルギー」をテーマに掲げ、プラズマや核融合(フュージョン)エネルギーについて楽しく学び、体験できる内容を豊富にご用意しました。当日は、来場者670名、オンライン視聴者3,280名を迎え、オープンキャンパス2025は過去最大級の広がりを見せました。ご来場、ご視聴いただいた皆様、誠にありがとうございました。楽しんでいただけましたでしょうか。本オープンキャンパスでは、いくつかの新しい企画を行いました。本記事では、新しい企画を中心にオープンキャンパス2025を振り返ってみたいと思います。

NIFSクロストーク2025

 「NIFSクロストーク2025」と題した講演会・パネルディスカッションを初めて開催しました。本クロストークは、弊所で行っている最先端の核融合科学研究をご紹介するだけではなく、最先端の科学を地域社会といかに結びつけ、どのように共に学び、共に発展していくことができるかを議論する新たな試みでした。本年度は「地域×学術を知る」をテーマに掲げ、地域の資源や技術を科学的視点で再発見し、そのポテンシャルを探る機会として学術講演会とともにパネルディスカッションを開催しました。学術講演会では、弊所山田 弘司所長が「大型ヘリカル装置研究で深まった謎と新たな挑戦」と題した講演を行いました。これまでの大型ヘリカル装置(LHD)を用いた核融合科学研究を振り返るとともに、どのように科学者として新たな研究に挑戦していくのか、科学研究とはそもそも何なのか?を考えさせられる示唆に富む話となりました。また、東京大学新保 奈穂美准教授が「私たちが起こすパラダイムシフト:グリーンでウォーカブルなこれからのまちを描く」と題した講演を行いました。普段私たちが何気なく生活をしている「まち」、その中でいかに住み良いまちを自ら作っていくのかについて、パークレットを通じたコミュニティ創出の事例を紹介いただき、まちづくりについて考えさせられるお話をしていただきました。学術講演会の後は、「科学の眼で再発見する東濃のポテンシャル」と題して、講師の方々とともに、株式会社アドマテックス 中野 修代表取締役社長・執行役員社長、三宅特許事務所 三宅 優香子弁護士・弁理士にもご登壇いただきパネルディスカッションを行いました。株式会社アドマテックスは最先端の素材技術を有する会社で、弊所のキャンパスにほど近い場所に新規の工場を建設中です。東濃地域の有する技術を知る機会として本趣旨に賛同していただき、今回パネルディスカッションにご参加くださいました。また、幼少期から東濃地域に馴染みのある三宅先生には市民の代表として、地域の価値を創出するためのご意見をいただくべくご参加いただきました。モデレーターは、自然科学研究機構 坂本 貴和子特任准教授が務めました。パネルディスカッションでは、エネルギー問題から始まり、核融合(フュージョン)エネルギー、核融合科学研究が身近なものとして認知されるためにはどうしたら良いか?フュージョンエネルギーが実現した未来の社会像などについて幅広く議論がなされました。実行委員長としての個人的な感想になりますが、東濃地域が誇れる科学技術をいかに生み出して、皆様に認知されていくことが科学の進展、地域の進展に重要であると感じました。本クロストークは、ニコニコサイエンスでも生配信され、講演会終了時のオンライン視聴者数は3,280名に上りました。会場、オンラインで多くのご質問も受けました。ご参加いただき、ありがとうございました。現在でも、アーカイブ配信として本クロストークをご覧いただけますので是非ご視聴いただければ幸いです。
https://live.nicovideo.jp/watch/lv348889309

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ペットボトルロケットを飛ばそう!

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 次は、「ペットボトルロケットを飛ばそう!」です。ペットボトルで作ったロケットを、水と空気の力で飛ばす企画です。過去のオープンキャンパスで行っていた企画でしたが、しばらく実施しておりませんでした。オープンキャンパスにお越しになったことがある参加者の皆様からのアンケートで復活して欲しいという多数のご要望があり、6年ぶりに行いました。ペットボトルロケットが高く遠くまで飛んでいく様子は迫力があり、参加いただいた皆様は科学の力を存分に感じていただけたと思います。見事面白かったイベント第1位でした。

核融合ボッチャ

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 次は、「核融合ボッチャ」です。ボッチャは、パラリンピックの正式種目として人気のあるスポーツです。今回はボールを原子に見立てて、核融合反応の原理をボッチャを通じて学ぶ、核融合科学研究所オリジナルルールで実施しました。多くの皆様に参加していただき、気づけば用意していた景品が全てなくなるほど大人気でした。

プラズマシミュレータ紹介

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 次は、「プラズマシミュレータ紹介(新スパコンをデモンストレーションで体験)」です。核融合科学研究所の新スーパーコンピューターが2025年7月に運用を開始されています。今回は、新スパコンを使ったデモンストレーションとして自分の顔の過去と未来を予測するプログラムを参加者の皆様に体験いただきました。参加者の皆様はご自身の過去、未来の顔を見て楽しんでおられました。実は、デモンストレーションに使ったプログラムの制作は全て研究者とChatGPTとの対話のもとで行われました。オープンキャンパスの前日まで細かいバグが発生し、デモンストレーションができるか最後までわからず実行委員長としてはなんともハラハラした企画でしたが、なんとか当日プログラムは完成しました。この企画を担当した研究者から、プログラム制作についての苦労話も参加者の皆様は聞いていただけたと思います。新スパコンのご説明とともに生成AIの研究活用についても幅広く感じていただける企画だったと思います。

食堂、キッチンカー

 次は、「食堂」「キッチンカー」です。今回、来ていただいた皆様に温かいお食事を提供するために、食堂の営業を行いました。来場者の皆様には、お時間によってはお待たせしてしまったかもしれませんが、大きな混乱もなくご利用いただけたのではないかと思います。また、クレープ、カフェなどの甘いスイーツを食べていただけるよう、キッチンカーもご用意しました。この日は曇り空で肌寒い中ではありましたが、食堂・キッチンカーをご利用いただいた皆様、温かいお食事は楽しめましたでしょうか。

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大型ヘリカル装置(LHD)見学ツアー

 ここからは例年行っている企画について紹介します。今回も、「大型ヘリカル装置(LHD)見学ツアー」を行いました。事前申し込み、かつ人数に限りがあり、いつも抽選で見学いただく限定ツアーです。今回は大型ヘリカル装置のプラズマ実験期間中のご見学ということで、多くの実験機器が稼働している中、ご見学いただきました。プラズマ実験の臨場感を味わっていただけたのではないかと思います。また、大型ヘリカル装置を用いたプラズマ実験は2025年12月25日をもって完遂しますので、最後の実験キャンペーンの最中、ご見学いただけたことに大変感謝申し上げます。また、いつもプラズマ実験中は、研究者・技術者は制御室に集まり、実験を見守っています。その制御室をご案内する「LHD制御室公開&制御室の一日」も行いました。大型モニターに映し出された高温のプラズマの動画を背景にして、多くの見学者の方々に日頃実験をしている様子を見ていただくことができました。さらに、高温のプラズマを閉じ込めるために私たちは磁場の力を利用しています。その磁場を生み出す超伝導コイルの冷却設備である液化機室も、「ヘリウム液化冷凍機室を大公開!」としてご見学いただきました。

核融合研で博士をとろう、高校生科学研究室(口頭発表・展示)、産学連携企画

 弊所は日本の核融合に関する学術研究の要として、将来の核融合科学を担う若手人材育成、さらには核融合研究で得られた技術を産学連携に応用することを推進する重要な役割を担っています。大学院教育では、総合研究大学院大学先端学術院核融合科学コース等での教育指導を推進しており、積極的に若手研究者を指導しています。オープンキャンパスでは「核融合研で博士をとろう(大学生・院生向け企画)」を実施して、高校生や高等専門学校、大学学部生を中心に核融合研での大学院教育や大学院での生活、入試について説明をするとともに、施設見学もしていただきました。また核融合研は高等学校との教育連携や、高等専門学校生・大学生向けインターンシップの受け入れにも力を入れています。高等学校では理数に重点を置いたカリキュラム、課題研究や探求的な学習活動を展開するスーパーサイエンスハイスクール(SSH)事業が行われていて、その一環として毎年多くの高校生が核融合研を訪れています。オープンキャンパスでは、「高校生科学研究室口頭発表・展示」を企画し、3校の高校生(愛知県立一宮高校、名古屋市立向陽高校、東海大学付属高輪台高校)の皆さんがお越しくださり、科学にちなんだそれぞれのテーマについて調査・研究した結果を発表してくれました。どれも素晴らしい研究内容でした。また、これまでの核融合科学研究で得られた技術を産学連携に応用した事例を「産学連携企画」としてご紹介し、見学に来ていただいた方々の関心をいただきました。

核融合科学研究所紹介展示(質問コーナー)

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 日頃の核融合科学研究所の研究活動についてご質問にお答えできるよう、「核融合科学研究所紹介展示(質問コーナー)」、「核融合研究の歴史と核融合研のユニット研究紹介」も企画しました。今回は、皆様のご見学の順路の動線に沿って本企画を配置しましたので、多くの参加者の方々に日頃の我々の研究をご紹介することができたのではないかと思います。

君だけの記念シールを作ろう!、バーチャルリアリティLHD、工作教室、空気のない世界のふしぎを体験しよう!、超伝導磁気浮上列車

 また、「君だけの記念シールを作ろう!」、「バーチャルリアリティLHD」、「工作教室(ヘリカちゃんとシーソー)」、「空気のない世界のふしぎを体験しよう!(真空実験)」、「超伝導磁気浮上列車」など例年大人気の体験型イベントも実施し、多くの参加者の皆様に楽しんでいただけたのではないかと思います。

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リアル謎解きゲーム

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 昨年に引き続いて、「リアル謎解きゲーム」も実施しました。見学ルートに合わせてチェックポイントを設け、謎を解いていく企画です。今回は、最後にパスワードで金庫を開けて、ヘリカちゃんとLHDからのメッセージをゲットするものでした。核融合についての知識を身につけながら、子供だけでなく大人も楽しめる謎解きで、皆さん、夢中になって謎解きにチャレンジされ、アンケートでも「むずかしいけど楽しかった」というお言葉を多数いただき、大変好評でした。皆様、ヘリカちゃんとLHDからのメッセージはちゃんと受け取っていただけましたでしょうか。また、スタンプを重ねることで、LHDが完成する「スタンプラリー」も実施しました。LHDのスタンプも完成しましたでしょうか。

 最後になりましたが、本オープンキャンパスは核融合科学研究会の援助を受けて開催されました。改めて御礼申し上げます。今後とも、核融合研究をはじめとする学術研究のさらなる発展や人材育成に向けて、皆さまのご支援・ご声援を賜りますようお願い申し上げます。次回のオープンキャンパスでも、皆さまと再びお会いできることを楽しみにしています。

(研究部・プラズマ・複相関輸送ユニット 准教授/オープンキャンパス2025実行委員長)