LHD運転の完遂

鈴木直之


 2025年12月25日をもって「LHD『実験』を完遂」したご報告では「1998年3月31日の実験開始以来、世界初の大型かつ超伝導コイルを有したLHD(大型ヘリカル装置)による実験を・・・」と紹介されています。そのうえで、実はLHDの「運転」開始日は1998年3月31日ではなく1月20日なのです。

図1.記念すべきプラズマ放電のファーストショット

 動いていないLHDに向かって、「明日実験したい!」と言っても当然ながらすぐには実験出来ません。実験を行うためには、LHDを動かす――つまり運転を始める必要があります。

 LHDの運転は、実験開始の2ヶ月前からスタートします。この期間で真空排気を行い、超伝導コイルをゆっくり冷やしていきます。特に超伝導コイルは、冷却時に歪みが発生しないよう、「均一にゆっくり冷やすこと」が重要です。「運転開始日が1月20日」というのは、まさにこの準備期間があるためです。

 実験が始まると、研究の要望に応じた機器操作が必要となります。1日の実験が終われば、翌日の実験に向けた整備も行います。実験期間は年度によって多少違いますが、だいたい3~4ヶ月ほど。その間、ほぼ毎日、機器の操作と整備が繰り返されます。

 実験期間が終了すると、今度は冷えていた超伝導コイルを1ヶ月かけて室温まで戻します。これも歪みが発生しないようにゆっくり行います。最後にLHDを真空状態から大気圧に戻し、ようやく運転終了となります。

 こうしたLHDの運転「サイクル」は、実に28年間繰り返されてきました。

 では、その運転を担ってきたのは誰なのか。それはLHDに関わった研究者、技術職員、そして運転を支えてくれた請負の運転員さんたちです。

 LHDは数多くの機器で構成されているため、研究者や技術職員だけではマンパワーが足りません。また、一度運転を始めると停止するまで24時間連続運転が続き、夜間や休日も運転監視が必要です。そのため、シフト勤務で対応できる運転員さんの存在は不可欠なのです。

図2.とある休日の制御室。重水素実験のための運転が始まった2016年12月16日以降、LHD運転完遂の2026年2月25日まで、計画停電時以外で制御室に人がいなくなる瞬間はありませんでした。

 「LHD『実験』を完遂」した22日後の2026年1月16日、超伝導コイルが室温に戻り、19日にLHDを真空状態から大気圧状態に戻しました。その後、2月20日までLHD真空容器内の最終点検を行い、2月25日、装置に流れる冷却水を止めLHD「運転」を完遂いたしました。

 ここに28年にわたるLHD実験そして運転が無事に完遂できたことは、これまでに関わった一人ひとりの取組と努力の積み重ね、さらに皆の協力によるものです。この成果を次の実験装置であるCHDやCHD-Uの運転へ確実につなげられるよう取り組んでまいります。

図3.2月20日、LHD真空容器内最終点検終了後、マンホールを閉じました。

(技術部長)