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平成22年4月26日

日本物理学会2009年度 第65回年次大会

 

  大学共同利用機関法人 自然科学研究機構
 

核融合科学研究所

 

 

  今回の研究活動報告では、3月下旬に開催された日本物理学会年次大会の様子をご報告させていただきます。

  日本物理学会主催の第65回年次大会が、3月20日〜23日の4日間、岡山大学津島キャンパスで開催されました。物理学会年次大会では、物理学に関する様々な研究領域の研究者が一同に集い、最新の研究成果が発表されます。今回は、合わせて19ある領域の研究者が58の会場に分かれて研究発表が行われました。プラズマ物理・核融合分野の研究領域では、約60件の発表件数がありました。核融合科学研究所からは、大学との共同研究を含めると、招待講演1件と51件の口頭発表が行われました。招待講演は「トーラスプラズマのイオン輸送改善の物理―空間相互作用と輸送の相関―」というテーマで、大型ヘリカル装置において達成された高いイオン温度のプラズマで観測された2種類の断熱特性(「空間相互作用」と「輸送の相関」)を紹介するものでした。プラズマの温度を上げるためには、熱の逃げにくい性質である断熱特性を調べる必要があります。「空間相互作用」とは、温度や密度の異なるプラズマ中の2点におけるそれぞれの断熱特性が空間的に強く結びついていることを示す現象です。一方、熱などが中心から周辺に伝わることを輸送と言いますが、「輸送の相関」とは、断熱特性すなわち熱の伝わる「熱輸送」の性質が、温度の変化だけではなく、プラズマ中に発生する電位の変化とも強い関係があるという現象です。大型ヘリカル装置では、プラズマの流れ易さの伝わる「流れ輸送」の性質が、流速の変化だけではなく、温度の変化とも強い関係を示す現象も観測されています。会場では、核融合条件に匹敵する5千万度を越える高イオン温度を大型ヘリカル装置において達成したことに対して、こうした現象がどのように影響しているかについて、活発な議論が行われました。
  会期中には、多くの研究者と有意義な議論や討論が行われ、参加者はこれまでの理解を深めると共に今後の研究活動に対して貴重な情報を得ることができました。



以上

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