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平成22年6月21日

第19回プラズマ・壁相互作用国際会議への参加

 

  大学共同利用機関法人 自然科学研究機構
 

核融合科学研究所

 

 

 2010年5月24日(月)から28日(金)まで、「第19回プラズマ・壁相互作用国際会議」がアメリカ合衆国・カリフォルニア州のサンディエゴという都市で開催されました。サンディエゴは、太平洋を望む北アメリカ大陸の西海岸に位置した温暖な地ですが、ここでは、カリフォルニア大学サンディエゴ校やジェネラル・アトミック社などが核融合研究を精力的に進めており、アメリカにおける核融合研究の中心地の一つです。
 核融合プラズマは真空に排気した容器(真空容器)内に生成され、高温のプラズマは磁場の力で真空容器の壁にさわらないように保持されています。しかし、プラズマは壁と向き合っていますし、周辺部に拡散したプラズマ粒子はダイバータ板と呼ばれる場所に磁場の力で導かれて、そこで終端します。このように、プラズマはダイバータ板や真空容器の壁などと直接、間接に相互作用をし、その結果、様々な影響を高温プラズマに与えると同時に、壁などに損傷を与えます。そのため、核融合エネルギーを実現させるためには、この「プラズマ・壁相互作用」を詳細に調べて、核融合装置の性能を向上させることが重要です。
 本会議は二年に一度の周期で開催され、核融合装置における壁材料とプラズマの相互作用や周辺プラズマの振る舞いに関する研究について、世界各地の研究機関や大学で実施された最新の研究成果が報告されます。今回は60件の口頭発表、約300件のポスター発表があり、300名を超える研究者が参加して、核融合炉の実現に向けた多くの議論が行われました。核融合科学研究所からは、大型ヘリカル装置(LHD)において達成した高密度プラズマの生成とその周辺プラズマの性質に関する招待講演、並びに、1件の口頭発表と7件のポスター発表が行われ、いずれも参加者の注目を集めました。
 今回の会議では、タングステン材料の特性評価に関する研究発表が多かったことが特徴として挙げられます。タングステンは白熱電球のフィラメントなどに使われる材料ですが、高融点で損耗に強いことに加えて、燃料粒子である水素を内部に取り込みにくいといった特徴から、核融合炉における壁材料の有力な候補として注目されています。研究所からも、LHDで使用したタングステン材料の損傷の程度や損耗量、水素の材料内部への取り込み量の評価結果についての報告が行われました。核融合炉の壁材料に何を選択するかは古くからの研究課題ですが、完璧な材料は未だ見い出されておらず、今後も精力的な研究が必要です。
 次回はドイツのアーヘンで、2012年5月に開催される予定です。





以上

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