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平成22年6月28日

日中協力事業と中国における核融合研究の進展状況

 

  大学共同利用機関法人 自然科学研究機構
 

核融合科学研究所

 

 

 核融合科学研究所は世界の様々な国と国際的な研究交流を進めています。中国もその一つで、2001年度から10年計画として実施されている交流事業「プラズマ核融合分野の拠点大学方式日中協力事業」については、すでに3月にお知らせしたところです。本年度はこの交流事業の最終年度になりますが、6月1日から4日にかけて、日中協力事業のコーディネータ会議が中国の世界遺産に登録されている黄山で行われましたので、その報告も含めて、中国の核融合研究の進展状況等について紹介させて頂きます。
  この交流事業では、核融合科学研究所と中国科学院・等離子体物理研究所(中国、合肥市)がそれぞれの国の拠点大学の役割を務めています。拠点大学にはコーディネータ(責任者)を、また拠点大学を協力・支援するために、双方の国の大学あるいは研究機関にキーパーソンをおいています。そして、両国あわせて約30名のコーディネータとキーパーソンが研究交流の立案と調整を行っています。今回のコーディネータ会議では、交流事業の2009年度の活動状況の報告および2010年度の研究者交流計画の紹介が行われ、この10年間の交流事業をどのようにまとめるか、そして、本交流事業で得られた貴重な研究のネットワークを今後どのように継承するかについて議論を行いました。なお本年度は、日中双方で約220名の研究者交流が予定されています。
  会議の後、中国側拠点大学である合肥市の等離子体物理研究所を訪問しました。等離子体とは中国語でプラズマを意味し、等離子体物理研究所は超伝導トカマク装置EASTを有する中国における核融合研究の中心研究施設です。最近、国際協力で進められている国際熱核融合実験炉(ITER)の機器研究開発に目覚しい進展があり、中国が分担しているITER用機器の約7割がこの等離子体物理研究所の責任の下で製作されます。李所長より、主装置であるEAST、その加熱電源装置、ITER用超伝導導体の製造施設、等を紹介して頂き、その進展状況の説明を受けました。
  最終年度を迎える日中拠点大学交流事業は、日本学術振興会が事業主体ですが、今回の中国訪問では、核融合科学研究所のコーディネータである小森所長が北京の日本学術振興会北京支局と中国科学院北京本部を訪問しました。この拠点大学交流事業では、これまでに数多くの学術的成果、日中共同研究による共著論文の出版、多くの若手研究者と博士課程の大学院生の育成、等を行ってきました。毎年のべ約400人日(人数x日数)の派遣とのべ約800人日(人数x日数)の招へいを支援してきた日本学術振興会(北京支局)と中国科学院(北京本部)に対して、こうした事業成果を報告すると共に、これまでに築き上げてきた研究ネットワークの更なる発展についての意見交換が行われ、今後の進展へ向けた共通の理解が得られました。事業終了後の展開へ向けた作業の具体化が今後重要になります。






以上

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