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平成22年7月26日

日韓核融合協力事業 〜計測分野での研究協力〜

 

  大学共同利用機関法人 自然科学研究機構
 

核融合科学研究所

 

 

 

 核融合科学研究所が進めている国際的な研究交流活動については、これまでにもたびたび紹介させていただいていますが、今回は韓国との研究協力についてご報告します。日本の文部科学省と韓国の科学技術部との間には、「核融合関連分野における協力に関する実施取り決め」が政府間の協定として結ばれています。それに基づいて、核融合科学研究所は韓国核融合研究所(NFRI)と核融合研究に関する協力事業を行っています。
 この研究協力事業では、大型ヘリカル装置(LHD)や韓国核融合研究所の超伝導トカマク装置(KSTAR)等の大型装置に関連した課題を始めとして、プラズマ・核融合物理、理論研究、炉工学等の研究分野での研究協力を行っています。大型装置の課題に関連して、6月24日に韓国大田(デジョン)市の韓国核融合研究所において、KSTARの計測装置の開発、整備に関する研究協力についての会合がありました。核融合科学研究所では、これまでに3つの計測装置(プラズマからの損失を測る放射損失計測器、KSTARの周辺プラズマの温度や密度を測るトムソン散乱計測用分光器、プラズマの温度を測る電子サイクロトロン放射計測器)に関しての研究協力を実施してきています。これにより、韓国のKSTAR研究計画の進展に貢献するとともに、日韓の核融合分野における研究協力を一層推進させてきています。
 今回の会合では、日韓双方から各6名の研究者が参加して、韓国核融合研究所における協力事業の進捗状況を確認し、本年度の計測装置の整備実施計画を立案しました。これまでの協力事業によって、当初に計画した計測装置のKSTARへの取り付けがほぼ完了し、昨年の10月から始まったKSTARの第2サイクル実験において有用な実験データを取得することが出来ました。これらの成果は、5月に米国ニュージャージー州において開催された「高温プラズマ計測会議」において、日韓双方の研究者によって発表されました。当初は計測装置の開発協力から始まりましたが、計測データの共同解析、計測システムの高性能化へ向けた協力へと研究協力事業が進化してきています。
 こうした計測装置に関する研究協力と並行して、日韓双方の大学院生を含む若手研究者の交流事業も進められています。その一環として、2年毎に日韓双方において「定常核融合プラズマのための先進計測に関する日韓セミナー」を開催しています。2008年に韓国浦項(ポハン)工科大学において開催された第4回の日韓セミナーには約80名の参加者がありました。今年はその5回目に当たり、8月26日から29日にかけて、九州大学と合同で九州の九重共同研修所において開催することになりました。このような若手研究者を主体とする活発な人的交流は、今後の日韓における核融合研究をますます発展させるものと期待されます。







以上

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