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平成22年8月25日

第15回プラズマ物理に関する国際会議(ICPP)

 

  大学共同利用機関法人 自然科学研究機構
 

核融合科学研究所

 8月8日から13日まで、「第15回プラズマ物理に関する国際会議(ICPP)」がチリの首都、サンティアゴで開催されました。チリは日本から見て地球の裏側となりますので、8月はちょうど真冬となります。夜は2〜3℃まで冷え込みますが、日中は気温が20℃近くまで上昇し、日本と比べて降雨量も少ないため、比較的快適な気候に感じられました。チリでは今年の2月27日、マグニチュード8を超える大地震が発生し、当初本会議の開催が危ぶまれしたが、会議が開催されたチリ・カトリック大学には特に大きな被害はなかったようです。会議場周辺では一部の美術館等で修復工事を目にしました。
 ICPPは1980年に名古屋で初めて開催されて以来、隔年で開催されているプラズマ分野で最も大きな国際会議です。プラズマと一言でいってもその研究分野は基礎的なプラズマ物理、プラズマ応用、宇宙プラズマや太陽コロナ、核融合プラズマなど多岐にわたり、そうした様々な研究分野の研究者が一堂に会して、各分野に共通する物理を見出すために活発な議論が行われました。発表件数は全体で253件で、そのうち基調講演が15件、招待講演が33件、口頭発表が45件、ポスター発表が160件でした。
 会議では午前中に基調講演が行われ、午後からは3つのセッションに分かれて発表が行われました。参加国はブラジル、チリ、アルゼンチン等の南米が半数近くを占め、インド、米国、日本、ロシア、英国など40カ国に及びました。日本からの参加者は11名で、このうち研究所からは4名が参加し、招待講演1件を含む大型ヘリカル装置(LHD)の実験成果の発表に対して大変熱い議論が行われました。
 高温プラズマは、外側にある電磁石で作った磁場のかごに閉じ込められていますが、なんらかの原因で磁場のかごの構造が乱れた場合、プラズマの閉じ込め性能は悪くなってしまいます。LHDの招待講演では、そのような乱れが生ずる原因と、その乱れた構造にプラズマの外側から小さな磁場を局所的に加えることによって、磁場のかごの構造がどのように応答するかという研究結果について発表を行い、活発な議論が行われました。このような磁場構造の変化は、核融合プラズマ分野のみならず、宇宙空間においても観測されている現象であり、それらに共通する物理機構の解明に向けて精力的に研究が進められています。
 次回は2012年に、「プラズマ物理に関する欧州会議(EPS)」と合同して、スウェーデンで開催される予定です。


以上

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