核融合の研究についての質問に答えます。

核融合の目的


このままエネルギーを使い続けると地球に人が住めなくなってしまうと予想されています。その問題を解決する方法の一つとして核融合研究が世界中で進められています。


エネルギー問題から

A:今、地球の人口がどんどん増えています。そして多くの人が電気を使った快適な生活をしたいと望んでいます。だから、このままでは発電所の数が足りなくなってしまいます。そして発電所で燃料として使われている石油、石炭、天然ガスも少なくなっていきます。そうすると燃料の値段が高くなってしまい、今のような快適な生活が送れなくなってしまうかもしれません。

人工衛星から見た夜の地球です。日本もだけど明るく光っている国は、たくさんの電気を使っています。でも、暗いところにももっと電気を使いたいと思っている人がたくさん住んでいます。(NASAの撮影:http://antwrp.gsfc.nasa.gov/apod/ap001127.html)


 地球環境問題から

A:発電所で、石油、石炭、天然ガスを燃やすと、二酸化炭素というガスができます。二酸化炭素が増えると地球の気温が高くなると言われています。そうすると南極などの氷が溶けて海が広がっていきます。海の中にある国では沈んでしまうところもあります。その他にも砂漠が広がったり、異常気象が起こったりすることも心配されています。今まで人が住んでいたところに人が住めなくなったら困ってしまいますね。

氷河

温暖化で氷河が滑り落ちる速度がはやくなったと言われています。
写真提供:2002年元旦アルゼンチンにて(栗林浩氏撮影)
全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイトより(http://www.jccca.org/

海

海面の上昇でツバルいう小さな島国が海に沈みそうになっています。
TUVALU Over Viewのウェブサイトより(http://www.tuvalu-overview.tv/)


 実現したら -1-

エネルギーの量がすごい

A:核融合発電所の燃料は、海水中にも含まれる重水素とリチウムという物質です。核融合で発電ができると、重水素0.1グラム(水3リットル分)とリチウム0.3グラム(携帯電話の電池1個に含まれる量に相当)で、日本人一人当たりの年間電気使用量(7,500キロワット時)が発電できます。

水とリチウム

 実現したら -2-

なんてったって海水が燃料

A:核融合発電所の燃料は海水です。いま燃やしてエネルギーを作っている石油は、採れる国が限られていますが、海水は地球上にまんべんなくあります。石油が少なくなると、採りあいが起きるかもしれませが、海水だとどの国の人も仲良く使うことができますね。

海水

 実現したら -3-

電気が供給できる

A:核融合発電所は、作るのにお金がかかると言われています。でも燃料は海水だから、安く使えますね。発電所を作るお金も、新しい超伝導体が発見されたりして科学が進歩すれば、もっとお金はかからなくなります。将来はきっと安く電気を供給できるようになるでしょう。


 実現したら -4-

原子力発電より安全

A:核融合発電が原子力発電より安全な点は、絶対に暴走しないことです。暴走というのは、反応が止まらずに温度が上がり続け、爆発することです。核融合は、核と核をくっつけることにより反応させてプラズマを燃やしますが、プラズマは燃料が多すぎても少なすぎても燃えないのです。これをどうやって安定して燃やすかが核融合の難しいところです。だからプラズマが自分で勝手に反応してどんどん燃えていくということはないので安心です。

コンロの火

核融合反応はコンロの火(上の写真)と同じで、バルブ(コック)を閉めると消えてしまいます。またバルブ(コック)を開けすぎても消えるので、ちょうど良いところで調整する必要があります。勝手に火が大きくなったりはしないので、安心です。