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受賞news

河村学思助教が2019年度吉川允二記念核融合エネルギー奨励賞を受賞

河村学思助教が、「EMC3-EIRENEコードを基盤とした核融合周辺プラズマの三次元輸送モデル研究開発」の成果に対して、核融合エネルギーの実現に寄与しうる若手人材に贈られる「吉川允二記念核融合エネルギー奨励賞」を受賞しました。核融合エネルギーフォーラム第13回全体会合(2020年2月28日・千里ライフサイエンスセンター)で授賞式が行われます。

核融合発電を実現するためには、磁場で閉じ込められた中心にある高温プラズマだけでなく、それを取り囲むプラズマ(周辺プラズマ)の研究も重要です。このような周辺プラズマを計算で調べるため、マックスプランクプラズマ物理研究所(ドイツ)で「EMC3-EIRENE」と呼ばれる計算コードが開発されました。河村助教はこのコードを、とても複雑な構造を持つ、大型ヘリカル装置(LHD)の周辺プラズマに適用するために、その計算に必要となる計算格子(プラズマ温度などを装置内であまねく表現するために必要な編み目状の基準線)を2年の歳月をかけて開発しました。周辺プラズマは容器に触れて水素ガスになったり、その水素ガスが再びプラズマに戻ったりしますが、これらの過程を正しく計算に取り入れることで、LHD周辺プラズマ全体の密度・温度・流れの分布を計算で求めることが可能になりました。計算結果はLHDでの計測結果と良く一致しており、信頼性の高い計算モデルであることが確認されています。その後、プラズマ中に混入する炭素などの不純物の計算やLHD以外の装置(名古屋大学 NAGDIS-II・京都大学 Heliotron J・量子科学技術研究開発機構 JT-60SA・筑波大学 GAMMA 10/PDX)への計算コードの適用などを進め、年を追うごとに応用が広がっています。