核融合へのとびら

スライド資料

3種類の加熱方法

3種類の加熱方法
解説

プラズマを加熱するためには、三つの方法を併用します。

1つ目は、中心ソレノイドコイルの磁場を変化させることで、プラズマ自体に電流を誘起し、抵抗による発熱で加熱する「オーミック加熱」です。「オーミック」とは、オームの法則に基づく現象を指します。なお、中心ソレノイドコイルの磁場変化は一時的なものであるため、主にプラズマの立ち上げ段階で使用されます。

2つ目は、サイクロトン運動の回転周期に対応した(共鳴する)周波数の電磁波を入射することで加熱する「高周波加熱」です。こちらは、水を電子レンジで加熱するイメージとなります。共鳴周波数は質量に反比例するため、電子の方が重水素原子核より約3,600倍高くなります。実際には、電子を加熱するためには数10GHzのマイクロ波、原子核を加熱するためには数10MHzの電磁波を入射します。前者を特に「電子サイクロトン共鳴加熱(ECRH)」、後者を「イオンサイクロトン共鳴加熱(ICRH)」と呼びます。

3つ目は、「中性粒子入射加熱(NBI)」です。これは、先に負の水素イオンを作り、高電圧電極で加速し、さらに薄い水素ガス中を通して中性化した後に、プラズマに打ち込む方法です。1億度以上に加熱された水素ビームをプラズマに注入する方法なので、あたかもヤカンで湧かした熱湯を水に注ぎ込むようなイメージになります。